東京五輪、ソフト上野の1球で幕開け 開幕日に38歳「神、感じた」

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

 ソフトボール女子日本代表のエース、上野由岐子(ビックカメラ高崎)=福岡市出身=が2020年東京五輪の“開幕投手”を務めることが濃厚になった。五輪競技は開会式2日前の7月22日、福島市の福島県営あづま球場での同種目からスタート。日本戦が組み込まれる見込みで、後攻となれば、同日に38歳の誕生日を迎える上野の1球から五輪競技が開幕する。

 運命に導かれ、鉄腕が五輪のマウンドへ向かう。2020年東京五輪全競技の先陣を切ってソフトボール女子の第1試合が7月22日午前9時にプレーボール。関係者によると、日本戦が組み込まれる見込みで、後攻となれば上野の1球が五輪全体の幕開けを告げる“号砲”となる可能性が高い。しかも、同日は自身の誕生日とあり「もう、神様の存在を感じました」と自身も驚く。

 開幕投手について宇津木麗華監督は「(大会全体の)戦略がある」と前置きした上で「最初の1球はとても大切。エースは上野だから可能性は高い」と明かす。今大会は出場6チームによる総当たりリーグ戦後、準決勝がなく、上位2チームが決勝に進む。過去の五輪以上に初戦の重要度が増すだけに、大黒柱で万全を期したいところだ。

 上野も「自分も(開幕を)言われるだろうと思っている。組み合わせ次第になるかもしれないけど、どこが相手であってもそうなるのでは」と覚悟を決めている。

 26歳で出場した08年の北京大会では2日間で3試合を投げ抜き、日本を金メダルに導いた。この「上野の413球」は今も語り継がれている。

 伝説となったエースは進化を続けている。19年4月の日本リーグ女子開幕直後に打球が直撃し、顎を骨折。手術を受けて約4カ月間、戦線を離脱した。その間、トレーニング方法などを見直して「これで良かったのかなと思える時間だった。プラスに捉えて進んでいる」と振り返る。11月の日本リーグ女子決勝トーナメントでは1日で2試合を一人で投げ抜き、ビックカメラ高崎を優勝に導いた。

 運命の日まであと203日。「そこまで、とりあえず突っ走るしかない」。何度も奇跡を起こしてきたその右腕の1球から、世紀の祭典が幕を開ける。 (伊藤瀬里加)

■渋野の憧れ公言に「上野の名前より…」

 東京五輪に向けて、競技への注目度も高まっている。女子ゴルフで昨年の全英女子オープンを制した渋野日向子は元ソフトボール少女。“時の人”に憧れの存在であることを公言されている上野は「上野の名前を出すより、ソフトボールの名前をもっと出してほしい」と照れ笑い。それでも「刺激をもらえるし、頑張ろうと思う」と自身のプレーへの活力に変えている。

■監督の「やめないことに意味がある」に救われた 上野一問一答

 -北京五輪後のモチベーションは。

 「正直、なかった。何のためにソフトボールをやっているのだろうという気持ちがあった。やり切った感がかなり大きかったので」

 -“燃え尽き症候群”を乗り越えられたきっかけは。

 「(宇津木)麗華監督が、『やる気がなくてもいいから、やめないことに意味があるんだ』と言ってくれた。当時は『えっ』って感じでしたけど。今思えば、あの時の言葉ですべて救われた。あの言葉をもらってやめなかったことで、今があるとつくづく思う」

 -地元ファンにメッセージを。

 「人の心を動かせる試合ができる選手でなければならない。そういうチームであればきっと、試合を重ねるごとにファンも増えると思う。皆さんの声援がすごく力になる。そういった力もパワーにしながら戦っていきたい」

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