涙の筑陽学園主将が伝えたメッセージ「笑って終われる1校に」

西日本スポーツ 西口 憲一

 ◆全国高校サッカー選手権3回戦 筑陽学園0-1徳島市立(3日・駒沢陸上競技場)

 11大会ぶり3度目出場の筑陽学園(福岡)が惜敗し、初出場で準優勝した2003年度以来、16大会ぶりとなる8強入りを逃した。

 前半22分、CKからポストの跳ね返りを押し込まれて先制を許し、縦パスを主体にした後半のパワープレーもあと一歩及ばなかった。GKの野中友椰主将(3年)は全国制覇の夢を後輩に託した。

 視界にあった頂点への道筋が涙で消えた。8強入りへの扉を閉ざされ、野中は目に悔しさと寂しさをあふれさせた。「速いボールに反応できませんでした。僕の実力不足です」。唯一の失点の場面を振り返り、己を責めた。徳島市立(徳島)の河野博幸監督(45)が「ああいう形でしか点が取れません」と明かしたセットプレー。野中も警戒しながら、防ぐことができなかった。

 名前の「友椰」は「ゆうや」と読む。実や幹など命をつなぐ植物として昔から重宝されてきた椰子の木。暴風にも強く、耐久性も高いとされる。「たくさんの友人に恵まれ、皆から必要とされるような強い男の子に育ってほしかったんです」。スタンドで見守った母和江さん(47)が明かした。

 全国総体予選は準々決勝で飯塚に敗れ、バラバラになりかけたチーム。徹底した走り込みで守備を鍛え、サイド攻撃を磨き上げた。部員間でもお互いに厳しく指摘し合うことで、それまで欠けていた団結心が育まれた。全国選手権への道のりも険しかった。飯塚、九州国際大付、そして決勝の東福岡と全て1-0で乗り切った。大舞台でも愛工大名電(愛知)を1-0で退け、草津東(滋賀)には2-1で逆転勝ちした。薄氷を踏むような勝ち上がりは、野中の好守と統率力なくしてあり得なかった。

 令和発祥の地とされる福岡県太宰府市から乗り込んできた筑陽学園の戦いが幕を閉じた。試合後、ロッカールームから姿を見せた筑陽学園の選手たちは駒沢陸上競技場の外で待つ保護者や家族、関係者の前に整列した。「これまでサポートしていただいたおかげで一つになって戦うことができました。本当にありがとうございました。このチームでサッカーをやらせていただき、幸せでした」。野中は130人の部員を代表して感謝の言葉を伝え、深々と頭を下げた。主将としての最後の務めを立派にやり遂げた。

 「悔し涙を流すのは負けた証拠。後輩たちには笑って終われる1校になってほしい」。吉浦茂和総監督から伝えられたというメッセージを、野中は口にした。

 「大学に進学してサッカーを続けます。この悔しさを忘れず、一番になりたいです」。仲間たちと肩を組んで試合会場を後にした。これからも続く蹴球人生。「椰子」の花言葉は「勝利」だそうだ。(西口憲一)

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