サンウルブズ練習生木村「今が一番楽しい」異色ルートでW杯へトライ

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

 スーパーラグビーの日本チーム、サンウルブズに練習生として参加しているSH木村貴大(北九州市出身)は、2023年ワールドカップ(W杯)フランス大会を異色のルートで目指している。昨季限りでトップリーグ(TL)の豊田自動織機を退団。インターネット上で募った資金で海を渡りニュージーランドでプレーして腕を磨いた。東福岡高3年時に主将として「花園3連覇」を達成し、筑波大では昨秋のW杯で日本代表として8強入りに貢献したWTB福岡堅樹(パナソニック)らとともに活躍したラガーマンが大志を抱いて突き進む。

■安定選ばず海を渡る

 少年のような笑みを浮かべながら、木村は激動の1年を振り返った。昨年3月にラグビーの本場ニュージーランド(NZ)へと渡った。大手企業の社員という立場を捨てラガーマンとしての海外挑戦。「濃くて充実していた。今が一番楽しい」と言い切った。

 スーパーラグビーに次ぐレベルで、8~10月に開催されるNZ国内の「州代表選手権」の出場を目指し、ワイカト州代表の下部チームに加入。選手権メンバー入りは果たせなかったが、あと一歩のところまで迫った。

 同選手権では昨秋のW杯日本代表だったSH茂野海人(トヨタ自動車)もプレーしたことがあり、ここで活躍したことが日本代表入りへの足がかりとなった。23年W杯を目指す木村も同様の飛躍を目指し、再び挑戦する意向。その前に、サンウルブズでのアピールを狙っている。

 多くの日本代表を輩出する北九州市の鞘ケ谷ラグビースクールで競技を始め、東福岡高、筑波大とエリート街道を歩んだ。安定を選ばずに海を渡る決断をしたきっかけは社会人2年目の17年、NZへの3カ月間の留学だった。

 それまでは会社の業務と競技を両立したが、初めてラグビー漬けの日々を過ごした。「選手としての賞味期限が限られる中、プロになって全力でやりたい」。心を動かされた木村は18~19年シーズン限りで豊田自動織機を退団した。海を渡る費用はインターネットを活用。プロとして知名度を上げる目的も兼ねてクラウドファンディングで資金を募り、100万円超を調達した。

 W杯日本大会は日本が史上初の8強入りを決めたスコットランド戦をスタジアムで観戦。筑波大で同級生だった福岡、親交のあるSH流大(サントリー)らの躍動する姿を目に焼き付けた。「自分ならどうするかを考えていた」と、改めて23年への思いを強めた。

 W杯で日本代表を指揮したジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は続投する。その戦術を踏まえ、木村は日本代表のSHに求められる力を「まずはテンポの速さがマスト。判断力が2番目。3番目はキックの正確性」と分析。特にキックは重点的に取り組む。

 「23年の日本代表を目指すのはもちろん、NZで活躍することが(当面の)目標」。NZでプロとして給与を得られるのは州代表となってから。現状は「ただの夢追い人」と自覚する。険しさは覚悟の上で、自ら選んだ道を切り開いていく。 (伊藤瀬里加)

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