SNS全盛期に手書きで練習日誌 高校駅伝監督「字を見れば分かる」

西日本スポーツ

 【記者コラム】

 「目は口ほどにものを言う」と言うけれど、もっと雄弁に人の心を表すものがあることを取材で知りました。

 昨年12月の全国高校駅伝で3位入賞を果たした筑紫女学園(福岡)。選手たちは練習日誌を書いています。A4サイズの普通のノートに手書きで練習内容や体調などを書き込み、長尾育子監督へ提出するんです。この令和の時代、SNSが発達しスマホもどんどん使いこなす高校生を相手に手書きのノートはちょっと昭和的なのでは?と思い、長尾監督に「今の時代で手書きなんですね」と聞いてみました。

 長尾監督は「手書きだからいいんですよ」とその良さを強調します。選手が書く字を見れば、その選手がどんな調子か分かるんだそうです。「その子の書く字で調子が悪いなとか、悩んでいるなとかが分かるんです。体の状態をスマホで選択させて体調を管理するアプリも人から勧められましたが、これからも手書きのノートを変えるつもりはありません」。なるほど。

 選手にもノートに故障や悩みなども書いているのか聞いてみました。選手たちは「調子が悪いとか、故障したとか、ノートにすべて正直には書かないです」と言っていました。調子が落ちたと見なされてメンバーから外れることが選手にとっては一番怖いのでしょう。でも、監督にはその字を見ればすべてお見通しというわけです。

 同じような話を別のところで目にしました。あるテレビ番組で、紅白歌合戦に出場したグループのマネジャーのスケジュール管理方法を紹介していました。その方は手帳にスケジュールをすべて手書きしていました。しかも書き直せるようにシャープペンシルで。メンバーにはうっすーい文字がびっしり書かれた手帳の写真がLINE(ライン)で送られてくるそうです。「やめてほしい!」と全員が口をそろえました。でも、一人のメンバーが言った言葉が心に残りました。「いいところもあって、字を見たら『この仕事は力が入っているな』っていうのが分かるんですよ」

 スポーツの世界も芸能界も、文字は口以上に雄弁です。AIだとか5Gだとか技術はどんどん進んでいるけど、本当に人と人をつなぐのは昔から変わらずアナログなものなのかもしれません。(前田泰子)

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