ソフトバンク杉内の「乱」王監督の方針に反旗/復刻

西日本スポーツ 山本 泰明

 ◆日めくりソフトバンク 誕生15周年

 ソフトバンク球団は今年15周年。球団がソフトバンクとなった2005年からの宮崎春季キャンプを、過去の西日本スポーツ掲載記事で振り返ります。08年2月2日、杉内がある決意を表明をします(年齢などは当時)。

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 福岡ソフトバンクの杉内俊哉投手(27)が、自信満々に王監督に反旗を翻した。2日から始まったキャンプ恒例の「朝の声出し」に、2番手で登場。昨年以上の結果を出す代わりに、王監督がNGとした長髪を認めるよう、王監督の目の前でお願いした。自信を裏付けるように、2日連続で入ったブルペンでは抜群の仕上がりを見せつけ、自ら「いい」を連呼。開幕投手の大本命左腕が、自慢のロン毛を振り乱してマウンドを支配する。

 あちこちにハネまくった長~い髪が、今季にかける意気込みそのものだった。首脳陣、ナインが見つめる中、前髪をかき分けながら堂々とした態度で杉内が登場。「6年目…いや、7年目」とまずは爆笑で場を和ませた左腕が、続けて真顔で大声を張り上げた。

 「今年は昨年の成績をすべて超える自信があります。もし達成できなければ長く伸びた髪をバッサリ切りたいと思います。王監督! それまでは大目に見てもらえないでしょうか」

 この日からスタートした朝の声出し。和田に続いて、2番手の杉内が口にしたのは、目標ではなく「お願い」だった。昨秋のキャンプ中、V奪回に燃える王監督は異例ともいえる長髪の自粛方針を通達。これを受け、ロン毛自慢の選手たちは短髪にしてキャンプインしたが、杉内だけはかたくなに拒んでいた。

 「僕は髪の毛が長い年の方が成績がいいですからね」。投手3冠で沢村賞を獲得した05年、チーム最多の15勝を挙げた07年。いずれも長髪で好成績を残しただけに、ゲン担ぎはやめたくない。もちろん、不振なら「潔く切りますよ」と覚悟は決めているが、自信があるからこそあえて目の前で反旗を翻した。

 午後のブルペン。2日連続で入り62球を投げた杉内は、3時間前に口にした「自信」の根拠を披露した。「まっすぐの軌道がいいんですよね。コースはいつも意識してるけど、今日も7、8割は思ったところに投げられた。とにかくいい…本当にいいんですよ」

 抜群の安定感を誇った05年。杉内の支えは、エース斉藤も「うらやましい」と口にしていた直球だった。今、その理想に近いボールが投げられている。「大事な年ですからね。その中でいいスタートが切れた」。“隔年投手”の称号返上を目指す今年、自ら「いい」を連呼するほど自画自賛の仕上がりだ。

 1月の自主トレで「開幕投手」に立候補。その後、斉藤とは電話で話したという。「内容は言えない」と笑ったが、無念の思いで離脱した先輩の思いはしっかりと受け止めている。「ピッチングって楽しいですね。中5日でも4日でもどんどん来いって感じです」。言葉の端々からあふれる自信。異端児左腕は、シーズン後もロン毛をやめるつもりなどサラサラない。 (山本泰明)

 ○…杉内の自信満々の口ぶりに、王監督も「ロン毛容認」の特例方針を打ち出した。昨年の成績をすべて上回る、との意気込みに「それくらいのつもりでやってほしい。頼もしいね」とうれしそうな表情。エース斉藤、和田の開幕不在が確実なだけに「もう7年目だし、先頭に立ってやってもらわないと」と、開幕投手の大本命左腕に熱い視線を注いでいた。

(2008年2月3日付、西日本スポーツより)

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