世界記録更新の道下美里、涙の理由 調整わずか1カ月…予定外の出走

西日本スポーツ 松田 達也

 別府大分毎日マラソンは2日、大分市高崎山うみたまご前から同市営陸上競技場までの42・195キロで行われ、視覚障害女子で道下美里(三井住友海上)=福岡県太宰府市在住=が、自らが持つ世界記録を1分52秒更新する2時間54分22秒で2年連続3度目の優勝を果たした。

 2016年リオデジャネイロ・パラリンピック銀メダリストで、東京大会の出場も確実にしている43歳の道下は、序盤から世界記録を大幅に上回るペースを刻んで新記録につなげ、自国開催の大舞台での金メダルに弾みをつけた。(スタート時晴れ、気温13・0度、湿度45%、北の風1・6メートル)

 歓喜の涙が止まらない。大歓声を受けながら、道下が伴走者とともに誇らしくゴールテープを切った。「みんなが応援してくれた中で最高の結果を出せた」。自身が持つ世界記録を3年ぶりに更新し、出場を確実にしている東京パラリンピックに弾みをつけた。

 東京大会のマラソンは9月6日。当日の暑さを意識して、序盤は抑えめに入り、後半にペースを上げる展開を描いた。「30キロ付近でも体が動いていたので、少し(記録を)意識した。後半に失速した経験もあるので、本当に『行ける』と思ったのは37キロくらい」。プランを着実に実行し、結果につなげた。

 昨年12月の防府読売では30キロ付近まで世界記録を超えるペースだったが失速。自己記録に2分36秒及ばない2時間58分50秒だった。その翌日、悔しさが募り、予定になかった今大会の出場を決断した。調整期間は、わずか1カ月。その中で30~40キロ走を「4回はこなした」という。1月には熊本県でのハーフマラソンの大会に出場。「1週間前まで練習量を落とさず、走って思い切り自分に自信をつけた」

 防府では25~30キロ付近で向かい風の影響を受け、フォームを崩してペースが落ちた。今回も同じ25~30キロ付近で向かい風を受けたが「ここで頑張らないと」と踏ん張った。前回大会も制したが、コースの傾斜などが気になり「あまり得意ではなかった」という別大。前回より約13分もタイムを縮め、苦い記憶を乗り越えた。

 2017年の防府で2時間56分14秒の世界記録を出した後、自己記録を破れなかった。40歳を過ぎ「予想したタイムと実際の走りに食い違いがある」とも感じ、筋トレに力を入れるようになった。もどかしい思いを抱えた中でも練習をサポートする仲間から前向きな言葉での励まされ、気持ちを奮い立たせた。「ここで(世界記録を)達成できたのは大きい。東京までもうフルマラソンはないので。ほっとした気持ちが強い」。殻を破って世界に底力をアピールし、悲願の金メダルに大きく近づいた。(松田達也)

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