宮本武蔵に学んだテコンドー浜田 東京五輪はゴールではなく「途中」
テコンドーの女子57キロ級で、浜田真由(ミキハウス)がロンドン、リオデジャネイロに続き3大会連続の五輪代表入りを決めた。長年痛めていた股関節を昨年2月に手術。9日の東京五輪代表最終選考会が1年ぶりの試合ながら、2015年世界選手権女王の貫禄を示し決勝で平林霞(早大)を退けた。
最低限のノルマは達成した。苦難を乗り越えてつかんだ3大会連続の五輪切符。「もう少しいいパフォーマンスをしたいと無力さを感じている」。元世界女王の浜田真は本来の実力とはほど遠い内容に、試合後は悔し涙もにじませた。
長年痛みを抱えていた股関節を昨年2月に手術。2カ月の入院を経て本格的な稽古を開始したのは11月からで、今大会が復帰初戦だった。第1ラウンド(R)で大きくリードしたが、第2Rではてこずり、圧倒とはいかなかった。
指導する古賀剛氏が「(仕上がりは)練習では50~60パーセントほどで試合は30パーセントくらい」と分析するように、けがからの復帰途上。浜田の心にも「昔と同じようにはいかない。いいときをイメージして追いかけてしまう」と焦りがないわけではない。
ただ、本番の夏を見据えれば痛みから解放された喜びは大きい。「違和感がなくなり、少しずつだけど、バリバリできることがうれしかった」。さらなる飛躍へ、蹴りの軌道などを一から見直した。「遠回りしているつもりはない」と、古賀氏に告げた言葉には自信がこもっている。
3度目の晴れ舞台は初の自国開催。だが「今回はロンドン、リオよりも五輪だって感じが薄い。それよりも自分の技を一つずつ身につけ、その途中に五輪があるという感じ」と特別な気負いはない。古武道の動きを練習に取り入れ、宮本武蔵が記した「五輪書」にも挑戦した26歳は、悟りにも似た心境にたどり着こうとしている。
あくまで五輪に体力、技術のピークを合わせる計画で稽古を重ねている。「1位を目指してメダルを争うのか、3位を目指してギリギリになるのかはこれからの自分次第。金メダルを目指したい」。かつての世界女王が高らかに完全復活を宣言するのは、この夏だと決めている。(伊藤瀬里加)
■兄妹五輪はならず
浜田真由の兄で男子68キロ級の康弘は決勝で惜敗した。五輪には届かなかったが「自分の中ではベストパフォーマンスはできた。悔いはない」と振り返った。試合後はすぐに妹を応援。五輪出場を決めると涙を流して喜んだ。妹とはともに稽古をしており「五輪へ高めていけるよう、考えて練習したい」とサポートに尽くす思いを語った。
■浜田真由(はまだ・まゆ)
1994年1月31日生まれ。佐賀市出身。小学1年でテコンドーを始める。12年ロンドン五輪5位。15年世界選手権で日本選手として初優勝。16年リオデジャネイロ五輪は2回戦敗退。174センチ。



























