ソフトバンク甲斐がノムさん追悼弾 背番「19」強打の系譜継ぐ覚悟

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 ◆ソフトバンク春季キャンプ紅白戦(13日、宮崎・生目の杜運動公園)

 ノムさんに届け! 福岡ソフトバンクの甲斐拓也捕手(27)が今キャンプ初の紅白戦でチーム1号の本塁打を放った。ホークスの捕手では11日に逝去した野村克也氏(享年84)以来となる背番号19のユニホームを着ての初試合、初打席でバックスクリーン左へ偉大な先輩を悼む一発。「打てる捕手」へさらなる進化を求める正妻が、10年目のシーズンへ向けて鍛え上げてきた成果を見せつけた。

■育成尾形の2球目

 きっと見ていてくれただろう。前日の雨から一転、澄んだ空の下で行われた2020年初めての紅白戦。快音を響かせたのは甲斐だった。2回1死一塁。売り出し中の育成右腕・尾形の2球目、見逃せばボールかという高めの144キロを捉えた。「しっかりたたけた」。打球を追う中堅釜元のスピードが、フェンスに近づくにつれ緩くなる。バックスクリーン左へ特大の一発。背番号19は、表情を崩すことなくゆっくりとダイヤモンドを一周した。

 南海時代に野村氏が背負った偉大な番号。捕手ではその野村氏以来となる19をつけた甲斐にとって、受け継いで最初の打席で先人を悼むアーチになった。11日のウオーミングアップ中に訃報を聞いた直後は「背番号19の入ったユニホーム姿を直接見せたかった」と唇をかんだ。それから2日後の追悼弾だ。

 入団の経緯や母子家庭で育ったことなど共通点が多く、野村氏は自身の著書にも「甲斐」の名前を出して激励していた。昨季開幕前にテレビ番組の企画で対面した際は、18年10月に生まれた長男の出産祝いとして子供服を贈られた。「本当に大事に着させてもらっている」。そんな尊敬してやまない野村氏の急逝で「恩返し」の思いは以前にも増して膨らんだ。

 「周りから求められるものは高くなる。野村さんの訃報を聞いて、今季への思いも一層強くなった。今まで以上の成績を残す自覚と覚悟を持ってやる1年。満足せずにやっていきたい」

■第2打席は二塁打

 その思いを、早速プレーでも体現する。第2打席は泉の直球を芯で捉えられなくとも、打球を中前に落とした。その間、スピードを緩めることなく、ベースカバーがいないことを確認すると一気に二塁を陥れた。「常に先を狙わないといけない」。本塁打で満足することなく、隙のないプレーを見せ続けた。

 背番号19の先輩は戦後初の三冠王に輝き、いずれも歴代2位の通算657本塁打、通算1988打点の成績を残した。さらに今年は日本人捕手で初めて米メジャーでプレーした城島健司氏が球団会長付特別アドバイザーとして15年ぶりに球団復帰。「思った以上にスイングが速い。自信を持っていい」と太鼓判を押されていた。昨年、育成ドラフト入団選手では初のシーズン2桁本塁打を記録した甲斐もその気だ。「やっぱり打たないと。投手を助けられるし、優勝に貢献できる」。球史に残る強打の捕手の系譜を、ホークスの新たな背番号19がしっかりと受け継いでいく。 (鎌田真一郎)

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