王会長秘蔵っ子、巨人も狙った育成左腕 ベール脱ぎ他球団警戒/復刻

西日本スポーツ

 ◆日めくりソフトバンク 誕生15周年

 ソフトバンク球団は今年15周年。球団がソフトバンクとなった2005年からの宮崎春季キャンプを、過去の西日本スポーツ掲載記事で振り返ります。

 10年2月16日は、元祖・育成の星とも言える左腕が大器の片りんを見せました(年齢などは当時)。

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 タカの山口になれ! 福岡ソフトバンクの育成4年目・山田大樹投手(21)が春季キャンプ第4クール初日の16日、A組の紅白戦に初登板。2イニングを無安打無失点と潜在能力の高さを見せつけた。秋山監督が「可能性は見せてくれた」と評価すれば、他球団のスコアラー陣も名前を挙げマーク。身長190センチの巨漢左腕が、巨人・山口ばりの育成出身スターダムを駆け上がる可能性は十分だ。

 秘めた力の一端が表れた。B組から招集され、おずおずと踏み出したメイン球場のマウンドで、山田が190センチ、92キロの体を躍動させた。A組紅白戦の6回無死一塁。ゆったりとしたフォームから、オーティズに対し、低めに136キロ直球を投げ込む。結果は三ゴロ併殺打。「ゲッツーが取れて、運が向いているなと思いました」。グラウンド上だけでなく、スタンドの見る目が変わった。

 先頭の李杋浩に左翼へ大ファウルをカッ飛ばされ、四球を与えた直後だった。「最初はビビってしまったけど、自分のスタイルで行こうと」。開き直って、上背を生かした縦のカーブで目線を動かす。オーティズを最高の形で打ち取ると、昨季のチーム首位打者・長谷川は三ゴロ(失策)。小斉は外角低めのスライダーで空振り三振に仕留めた。続く7回は直球、カーブで内野ゴロ三つ。ゼロを並べてみせた。

 バックネット裏の偵察部隊の目も光った。ロッテ吉岡スコアラーは「今回だけでは判断できないが、山田が面白い。球質が重い印象を受けた」とチェック。オリックス川畑スコアラーは「打者が打ちづらそうだった。手足が長く、球持ちがいい。球威が出てくれば」とこちらも“要確認”のマークをつけた様子だ。

 目立つ実績はなくとも、つくば秀英高時代から米メジャーのマリナーズも調査した逸材は、昨季で育成選手として3年を終え、制度上、一度は自由契約扱いに。巨人が獲得を視野に調査を進め、球団も急ぎ育成再契約に動いたというほどの有望株だ。昨秋キャンプでは王会長が直々に指導、カーブ習得を勧めたいわば秘蔵っ子。評価はチーム内外で高い。

 1月19日の監督・コーチ会議をへて、今春キャンプでは首脳陣の間でも「次代の担い手として、大きく育てる」との方針が打ち出された。そこで最速152キロを計測した昨季の救援から一転、今季は2軍での先発起用が内定済み。この日最速が136キロにとどまったのには、そうした背景もある。ブルペンではひそかにフォークを習得中だ。

 今後のA組参加は未定ながら、首脳陣は練習試合を中心に登板を検討中のようだ。秋山監督は「結果が出れば自信にすればいい。順調にステップを踏んでいる。支配下選手登録? 可能性は持っている」と、育成選手の底力に期待を寄せた。

 同じ左腕の巨人山口は育成から台頭しセットアッパーに成長。原巨人のリーグ連覇を導き、侍ジャパンの一員としても昨年のWBC連覇に貢献、晴れて先発に転向した。球場を引き揚げる際、並んだカメラに「なんで僕なんか撮ってるんですか?」とキョトンとした山田。本人はまだ無自覚ながら、秘密兵器の期待は高まる。(森 淳)

(2010年2月17日付、西日本スポーツより)

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