高3で世界記録更新の山口が引退意向「ラスト1年」東京五輪諦めない

西日本スポーツ 伊藤 瀬里加

 ◆競泳コナミオープン 男子100メートル平泳ぎ予選(16日、東京辰巳国際水泳場)

 元世界記録保持者の山口観弘(25)=志布志DC=は1分2秒02の10位タイで上位8人による決勝進出を逃した。レース後、今秋の鹿児島国体を区切りに第一線から退く意向を明かすとともに、今夏の東京五輪代表にも最後まで挑戦することを明言した。

 決勝進出ラインの8位とは0秒12差。最終組のレースまで見届けた山口は「残念ですね」と悔しがった。鹿児島・志布志高3年だった2012年の岐阜国体で2分7秒01をマークして当時の世界記録を更新。「北島2世」「東京五輪の星」と騒がれたが東洋大に進んだ後は伸び悩み、16年リオデジャネイロ五輪の代表には届かなかった。

 昨秋に所属先だったイトマンとの契約が切れ、高校時代まで練習していた志布志DCに復帰。その“真意”をこの日のレース後に明かした。「ラスト1年、地元でお世話になった人のところで頑張りたい。鹿児島国体があるので、育った県で終わるのもいいかなと思った。現状では目標の最後はそこになる」

 今は競技者としての終わりも意識しながら練習に励む日々だ。高校2年生から小学3年生まで幅広い年代のスイマーを指導しながら、自らも泳ぎ込んでいる。山口によれば「(100メートルのタイムが)1分1~2秒くらいであればあと10年は泳げる。ここまでは(技術面での)コツがある。1分0秒台からは体を整えないといけない」という。「そう考えると」と言って、続けた。

 「北島さんは本当にすごい。34歳の年(16年)までずっとやったんだから…」

 アテネ、北京両五輪で2大会連続平泳ぎ2冠の北島康介氏は30歳になる年だった12年、ロンドン五輪予選の日本選手権を58秒90の日本新記録で制した。そこで終わらず、さらに4年後まで現役を続行。引退の時期を決めた今だからこそ、山口はレジェンドの偉大さを改めて感じている。

 日本の「お家芸」と言われる男子平泳ぎ。特に、自身が世界記録を出した200メートルは過去最高といってもいいほどハイレベルの争いが続いている。前世界記録保持者の渡辺一平(トヨタ自動車)、17年世界選手権銀メダルの小関也朱篤(ミキハウス)に加えて19歳の新星、佐藤翔馬(東京SC)も台頭。佐藤とは大会期間中に言葉を交わし「楽しみ。(五輪の)メダルも見えてくる」と感じたという。

 もちろん、山口もまだ東京への道を諦めたわけではない。15日に行われた200メートルは2分14秒55で14位。「可能性は1%もないと思う」と潔く力の差を認めた上で「ここまで続けているのは今年の五輪が残っているから。0・何パーセントもないと思うけど、そのパーセンテージを上げていけるように」と前向きに言い切った。原点の地で続ける“最後の挑戦”はまだ終わらない。 (伊藤瀬里加)

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