ソフトバンク・モイネロ、コラスと電話で会話…母国キューバへの思い激白
西スポのインタビュー企画「キーマンに聞く」春季キャンプ第4弾は来日4年目のリバン・モイネロ投手(24)を直撃する。今季もフル回転する覚悟の左腕。キューバ代表として出場を目指す東京五輪での、驚きの金メダル奪回イメージも披露した。ともに入団した“同期”コラスが先月、米大リーグ移籍を目指し亡命したと報じられる出来事も。キューバ野球界を取り巻く事情への思いも語った。(聞き手・構成=森淳)
-このオフはどう過ごしたか。
「まず1カ月ずっと休んで、それからウエートトレーニングや、個人トレーナーの下でランニングメニューに取り組んだよ」
-投球に関しては。
「そんなに投げてない。20メートルぐらいのキャッチボールだね。もともと2月はカリビアンシリーズに合わせていたけど、行かなかった(※1)から、そんなに強度は上げなかった。キューバの選手はカリビアンシリーズに行くものと思ってたんだけどね。その分ちょっと休めたし、日本に来てしっかり練習しようと」
※1…中南米5カ国のチームが争う大会。2月上旬に開催。今年は開催地が米自治領プエルトリコだった。米国とキューバの関係が悪化した中、ビザ発給に問題が生じ、キューバのチームは参加できなかった。モイネロは2月7日に来日。
-昨季を振り返って。
「長い一年だった。日本シリーズまで戦ったし、(キューバ代表として)夏のパンアメリカン大会、11月のプレミア12でも投げた。結構、疲れを感じていたから、このオフは休養も重視したよ。去年はカリビアンシリーズで投げてから来たけど、今年はまだブルペンにも入ってないしね」
-昨季成績については。
「防御率1点台(1・52)はいい数字だと思うし、日本一に貢献できて良かった。いい準備をして臨めていたと思うね」
-一方で代表チームは振るわなかった(※2)。
「そう、頑張ったんだけど結果が出なかった」
※2…キューバは昨夏のパンアメリカン大会で8チーム中6位。プレミア12も1次ラウンドで敗退し、出場チームの米大陸最上位に与えられる東京五輪出場権を獲得できなかった(メキシコが獲得)。五輪出場枠はあと2。キューバに残されたチャンスは、3月に米国で行われる米大陸予選と、4月に台湾で行われる最終予選。
-キューバ国内の野球ファンの反応は。
「強かったキューバ代表が、残念ながらこのところ、成績を落としてしまっている。やっぱり、ファンはご立腹みたいだ」
-代表の主力として五輪出場の見通しはどうか。
「出られると思う。無理なことじゃない。試合で投げたら、3イニングでも4イニングでもいくよ」
-キューバの野球界にとって五輪は重要では。
「僕もそう思う一人だ。もうずっとキューバは国際大会で優勝できていない(※3)。先輩たちとキューバ代表で五輪に出て勝つ。その目標がモチベーションになっているよ。これから一生懸命に頑張って、出られたらうれしいね」
※3…野球が正式競技となった1992年以降、五輪5大会で金メダル3度、銀メダル2度。もっとも、2004年アテネ五輪での金メダルを最後に、WBC、プレミア12も含めた主要国際大会で優勝がない。
-デスパイネやグラシアルと五輪の話をしたか。
「何度もね。一緒に頑張って優勝しようと」
-野球のキューバ代表としてプレーする思いは。
「代表のユニホームを着ていると、すごく気持ちがいいんだ。キューバの選手はみんな、あのユニホームを着たいんだからね」
-キューバ代表が振るわないのは、亡命選手が後を絶たないことも一因だ。
「そのことについては、それぞれ考え方が違う。アメリカでプレーしてお金を稼ぎたい、という考え方もリスペクトしている。僕は日本で頑張る。亡命したらキューバに戻れない。日本でプレーする分には普通にキューバへ戻れる。家族のためにも、それがいい。僕には親や恋人、3歳の娘、1歳の息子がいる」
-今年1月、同僚のコラスが米大リーグ入りを目指し亡命したと報道された。
「去年まで3年間、やってきた仲間だ。今年、一緒にプレーできないのは寂しいよ。次、いつ会えるか分からないけど、どこにいても頑張ってほしい」
-2017年5月、ともに育成選手として来日。
「あの頃、筑後(ファーム施設)で、早く支配下登録されたいなって。家族のために頑張ろうって、そんな話をしていたよ」
-連絡を取ることは。
「この間、テレビ電話で話した。込み入った話はしてないけどね。元気?とか練習頑張って、とか。それぐらいの話だけどね」
-亡命せずに米移籍できる新制度が頓挫した(※4)。失望はなかったか。
「正直、新制度はうれしかった。僕のことだけじゃない。ほかの選手にとって、いいチャンスになると思った。だから駄目になって本当に残念だった」
※4…これまでキューバから米大リーグへの移籍は密入国や第三国への亡命を経て行われていたが、両国の国交回復に伴って18年末に移籍制度設立で合意。キューバ野球連盟は19年春、移籍可能な選手を発表し、モイネロやコラスもリストに名を連ねていたが、その後、米政府が同制度を認めない方針を示した。
-自身の現在の状態は。
「体は準備できているよ。去年の倍、準備してきた。例えばスプリントを10本走っていたところを、20本走ったりしてね。シーズン60試合ぐらいに投げて、チームに貢献したい」
-何かテーマは。
「制球力だね。四球を出さないことを目指すよ。去年が25個だったから、今年は20個以下。キャッチボールから変化球の精度アップに取り組んでいるところだよ。ボールにする球、ストライクを取る球、しっかり投げ分けられるようにね。ブルペンに入る時期はまだ決めてないけど、キャンプ中にと思ってるよ」
-五輪の舞台は東京。
「とても大きな意味がある。もしプレーできたら、知ってくれている人も多くて、応援もしてもらえるかもしれないけど…緊張しそうだな(苦笑)」
-ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、プレミア12には出た。
「そう! あとはオリンピックだけなんだ」
-出場すれば同僚の千賀や甲斐を擁する日本と、メダルを懸けて争う可能性も。
「日本戦になったら先発したい! 松田(宣)サン、(甲斐)拓也サン、ギータ(柳田)サンもいるかな。みんな三振に抑えて、それで優勝できたら、すごく気持ちいいだろうね」