ソフトバンク岩崎が選んだ「やめる勇気」 思い出した工藤監督の言葉

西日本スポーツ 石田 泰隆

 ◆タカ番記者コラム「好球筆打」

 6日ぶりの宮崎だ。記者として駆け出しの頃は「無休キャンプ」が当然だったが、働き方改革が叫ばれる今、そんな勤務形態は通用せず、きっちり5連休を頂いてホークスのキャンプ地に戻ってきた。

 日程としては第4クールを丸々抜けた形だが、たった1クールの間にいろいろなことがチーム内に起こっていた。最大のニュースは何といっても甲斐野の離脱だろう。昨季、新人ながら主に8回を任された男が、右肘を痛めて開幕絶望の危機に陥っていた。

 甲斐野はキャンプ休日の18日に佐賀県内の病院を再訪して「PRP療法」を受けたというから、症状は想像以上に重いのかもしれない。今季絶望とまでは言わなくとも、長期離脱は覚悟しておく必要があるだろう。

 そんなわけで19日のブルペンだ。当然、セットアッパー候補の投球に目が行く。今季、計3度にわたる右肘手術からの完全復活を目指す岩崎だ。2017年には最優秀中継ぎ投手に輝いたタイトルホルダー。17日の紅白戦では最速148キロの直球を武器に1回無失点と存在を示していた。

 しかし、今回はわずか18球で投球を終えた。しかも、ぶぜんとした表情で、見るからに途中で投球をやめたように映ったから、こちらは岩崎にまでアクシデント発生かとヒヤリとしたが、違った。

 「体のバランスが悪かったので、このまま投げ続けても意味がないと思った。以前、工藤監督に『投げている感覚が悪いと思ったらやめる勇気も必要』と言われたのを思い出し、きょうは投げるのをやめました」

 どうやら、余計なお世話だった。岩崎は冷静に今の自分を見極め「やめる勇気」を選択しただけのようだった。「監督には『試合は途中でやめられないぞ』と言われましたけどね」。そう言って白い歯ものぞかせていた。きっと「どっちやねん!」と続けたかったのだろうが、さすがにその言葉はのみ込んでいた。

 ただ、指揮官は気になって仕方なかったようだ。個別練習では岩崎に寄り添い、投球フォームからトレーニング法に至るまで熱心に指導していた。「8回の男」として期待する思いが、ひしひしと伝わってきた。 (石田泰隆)

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