先発まさか4球で危険球退場 ブルペン2球投げただけで緊急登板/復刻

西日本スポーツ

 ◆日めくりソフトバンク 誕生15周年

 ソフトバンク球団は今年15周年。球団がソフトバンクとなった2005年からの宮崎春季キャンプを、過去の西日本スポーツ掲載記事で振り返ります。

 12年2月25日は期待の左腕が先発わずか4球で危険球退場。同じ左腕のリリーバーがスクランブル登板で奮起しました(年齢などは当時)。

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 スクランブルデビューで“プロ初勝利”をマーク!! ルーキーの嘉弥真新也投手(22)=JX-ENEOS=がセットアッパーとしての適性を十二分にアピールした。先発した川原がわずか4球で危険球退場。登板の予定すらなかったが、ブルペンで2球だけ投げ込み急きょマウンドに上がった。貴重な中継ぎ左腕として期待される新人は動じることなく、2回を1安打無失点に抑えて勝利投手になった。

 プロデビューは、突然にやってきた。心の準備もない初回だ。川原が1番東出の頭部に死球を与え、わずか4球で危険球退場。ベンチに座っていた嘉弥真に声がかかった。慌ててブルペンへ走り、捕手を立たせたまま2球だけ投げ込んだ。「大丈夫です!!」と急発進。マウンドで5球を投げ込み、ドタバタのデビュー戦がスタートした。

 この緊急事態に、新人離れした強心臓と適応力を見せた。2番赤松の犠打後、新外国人のバーデンをキレ味抜群のスライダーで空振り三振。4番の栗原は、内角直球で力ない中飛に打ち取った。登板予定もなく、準備もほとんどない中での見事な“火消し”。実は首脳陣はブルペンでもう少し球数を投げさせようとしていたが「そんなことを言ってられる状況ではないと思ったんで…」と責任感十分の初登板を振り返った。

 思いもよらない初舞台で、中継ぎとしての適性も存分に示した。続く2回も四球と安打を許したものの、無失点。オープン戦初戦で初勝利まで手にした。高山投手コーチは「気持ちと肩が早くできるのは、中継ぎの要因として素晴らしい部分。非常にいいものを見せてもらった」と絶賛。森福を除いては左の中継ぎは手薄な状況だけに、これ以上ないアピールに成功した。

 本来は登板前にブルペンで20球ほどの投げ込みで肩をつくるが、社会人時代にも味方投手に打球が直撃した際などに緊急登板の経験があるという。「社会人の時も何度かあったけど、プロで経験できた事は大きい」。初白星だけでなく自信もつかんだ。

 「スクランブルの方が、余計な事を考えなくていい。それがよかったのかも…」。緊張する間もない初登板に新人らしい笑顔を見せながら、開幕1軍へ確実に前進。本人にとっても、チームにとっても忘れられないデビューを飾った左腕が、シーズンでもピンチを救ってくれるはずだ。(倉成孝史)

 ○…注目の3年目左腕・川原がまさかの危険球退場に悔し泣きした。初回、先頭の東出に対し、自慢の真っすぐが3球連続ボール。4球目の直球もすっぽ抜け、頭部直撃の死球となった。「切り替えてやるしかない。チャンスをもらえたら、そこに向けて頑張りたい」。試合後、報道陣に囲まれると死球の場面を思いだしてか、思わず涙ぐんだ。

 16、19日と紅白戦に2度登板し、自己最速にあと1キロと迫る154キロを計測するなど快速球で存在と成長をアピール。期待の込められたオープン戦初戦先発の舞台は、わずか4球で幕を閉じた。この日の最速は3球目と、死球になった4球目の142キロ。予備要員で備えていた嘉弥真のスクランブル救援を仰ぎ、悔しさを募らせた。

 高山投手コーチは「仕方ない。ショックだろうな」と若い川原の心中を思いやり、今後の登板については「他投手との兼ね合いもある。今から考える」とした。

 1年目、一昨年の秋季キャンプB組練習試合で、2回11安打14失点を喫して涙を流した。2年目の昨春キャンプではB組で捕手の送球を頭に受け病院に運ばれた。キャンプ中の試練を再び乗り越え、進化の糧にするしかない。(森 淳)

(2012年2月26日付、西日本スポーツより)

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