米最多勝のお騒がせ男ペニー 初実戦でちょっとだけ見せた本気/復刻

西日本スポーツ

 ◆日めくりソフトバンク 誕生15周年

 ソフトバンク球団は今年15周年。球団がソフトバンクとなった2005年からの宮崎春季キャンプを、過去の西日本スポーツ掲載記事で振り返ります。

 2012年2月28日は、メジャー最多勝経験者の看板を引っ提げ来日したペニーが実戦初登板。お騒がせ男がちょっとだけ本気を見せました(年齢などは当時)。

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 メジャー最多勝右腕の闘争本能が目覚めた-。福岡ソフトバンクの新外国人ブラッド・ペニー投手(33)=米大リーグ・タイガース=が、韓国・斗山との練習試合(アイビー)に先発で実戦デビューを果たし、米大リーグ通算119勝の片りんを見せた。1回を被安打2の2失点(自責点0)ながら、最速146キロをマーク。途中で細川亨捕手(32)をマウンドに呼び寄せ、うめき声を発しながら投げるなど気迫満点の投球を初披露した。

 ファンもまばらなスタンドに突如、大男のうめき声が響いた。実戦初マウンドの初回、ペニーがいきなり1死二、三塁のピンチを招いた。カウント1ストライクから相手4番打者に投じた2球目だ。「Ugh(ウゥッ)!」。この日最速タイとなる146キロ、高めの直球で空振りを奪った。ド軍時代の2006年にナ・リーグ最多16勝。米メジャー通算119勝右腕の本能が顔を出した。

 直前には、自らタイムを取り、マウンドから細川に手招きした。左手で女房役の肩を抱き、話し込む。「サインのコミュニケーションで食い違いがあった」。サイン交換がうまくいかず、間合いが延びて打者がタイムを取る場面もあった。結果は度外視で臨んではいたものの、いつしかスイッチは「本気モード」に切り替わっていた。

 うめきながら投げ続け、最後は内寄りの145キロで一ゴロに打たせて取ったが、一塁今宮の本塁悪送球で2者生還。頭に血が上りそうな場面だが、冷静さは失わなかった。野手陣に向けて親指を立て、1死二塁から内野ゴロ二つで初登板を終えた。直球、カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップ、スプリット。持ち球は一通り投げた。細川の頭をなでてベンチへ引き揚げ、攻撃中にまた話し込んだ。

 「思った通りの結果。百パーセントではないがストライク先行の投球ができた」。初回の先頭打者への初球ストレートは129キロだった。決して完調ではないものの、23球でボールは3球。熱くなっても自滅せず、結果的には内野ゴロで3アウトを奪った。開幕カードで当たるオリックスの依田スコアラーは「ブルペンみたいに淡々と投げるかと思ったが、ピンチでの力投も見えた。制球力があり落ち着いている。いいものを見せてもらった」と静かに評した。

 登板前は全体の輪から一人離れ、トレーニングで準備する米メジャー流。「(打者)3人目から力入ったなあ」と見守った秋山監督は、こう付け加えた。「もう(調整は)任せている」。オープン戦初登板は3月7日阪神戦(ヤフードーム)の予定。「今まで通りに調整する。少しずつイニングを増やし、4月に向けて精度を上げていく」。気温10度でのデビュー登板を終えたペニーに焦りも気負いもない。看板に偽りなし-。すごみを感じさせる“冷たい熱投”だった。(森 淳)

 ○…斗山の伊東勤ヘッドコーチ(元西武監督)もペニーに「○印」を付けた。体格や風貌とのギャップに「思ったほどは、すごい投手じゃなかった」と言いながら、「コントロールが良い。ボール球が先行して崩れる投手じゃない」と制球力に感心。「直球も145~146キロ出ていたし、カーブみたいな球を投げていたけれど、あれでストライクが取れればもっと良くなる」と活躍を予告した。

(2012年2月29日付、西日本スポーツより)

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