質問魔だった野村克也さんの言う「技術以外の戦力」/藤原満 (2ページ目)
■プロ10年目勝負の年
藤原 居残り特打も遅くまでやっていたし、本当によくやっている。ところで(2年前に)結婚して全然変わったやろ。
甲斐 子供の顔を見たときに「やっぱり頑張らないといけないな」と本当に思います。帰って、きついな、つらいなというときでも、子供の無邪気な笑顔に元気をもらっています。
藤原 自分が子供を持ったときに「親ってありがたいな」と感じる。
甲斐 親のありがたさは本当にそう思いますね。子供を育てるのはこんなに大変なんだ、と。それを自分の母親がやってきたんだと考えたときに「すごさ」を感じました。
藤原 親に野球をさせてもらって、食事の準備や洗濯もしてもらってな。
甲斐 僕は母子家庭で兄と2人兄弟だったんですけど、お金がかかる野球を2人ともさせてもらった。母にはとんでもないきついことをさせていたんだなって。本当にかなわない存在だと思います。
藤原 子供が生まれると一つ大人になれると思う。実際に体験するとすごいことやろ。
甲斐 本当にそうですね。僕も母と同じように子供に気持ちを伝えたいなと思いますし、実際に母からしてもらったことを、僕もやっていかないといけないなと考えています。
藤原 野村さんも苦労して育った方だった。精神的に大人になることで相手の気持ちが分かるし、戦いで相手の裏もかける。
甲斐 そうですね。
藤原 われわれは野村さんに「技術以外のぼやきや話術も戦力」と言われた。「きょうは(投手の)球が抜けとるな」とか独り言を言ったら、打者も「本当かいな」と腰が引けることだってある。心理的な駆け引きも一つの力になる。
甲斐 大事な部分だと思います。勉強することはたくさんあります。
藤原 今年の目標にはリーグ優勝がある。
甲斐 自分の一番はやはりリーグ優勝。そこしか考えていません。ここ2年は本当に悔しかったし、このキャンプも「リーグ優勝のためにはどうしたらいいか」と取り組んでいます。プロ10年目で背番号も変わり、個人的にもチームとしても本当に勝負の1年。そのためにはもっと力をつけて、もっとチームに貢献しないといけない。
藤原 西武がレギュラーシーズンで2年連続優勝したけど、西武のあの雰囲気はいい勉強になった部分もあるんじゃない。
甲斐 西武はすごく雰囲気がいいですよね。ホームでファンの勢い、声援が一気にくるような感じもすごいし、他にはなかなかない空気だと思います。
藤原 勝っても何か変な雰囲気になる。
甲斐 それに負けているっていうところが本当に悔しい。キャッチャーというのもありますし。とにかく一番になりたい。勝ちたいですね。
藤原 改めて野村さんの話になるけど、本当に勉強家だった。相手の隙を突いたり、癖を研究したり。頭の回転が速いし、洞察力や読みがすごかった。
甲斐 そういったところは自分に足りないと思うし、見えていなかった部分が見えるように必死に努力しないといけない。これからはそこが必要になってくると思います。
藤原 どんな19番にしたい。
甲斐 野村さんが19番をつけていたけど、最近はキャッチャーの背番号は2番や27番みたいになっていて、19番は投手の背番号みたいになっていた。そこを僕は変えたい。僕はどこのキャッチャーにも負けたくない。今は一番のキャッチャーになれるように、19番で自分のものをつくっていければと思います。
藤原 日本代表のキャッチャーやからね。日本一ぐらいじゃいかん。東京五輪もあるし、世界を見ないと。大きく、大きくな。
甲斐 (五輪は)野球人としてこんなチャンスはめったにない。そこで野球をしたい気持ちはあるけど、そのためには金メダルを取れるだけの個人の力が必要。自分はもっと力をつけないと選ばれないと思う。ただ、シーズンも前半があるし、そこでチームを勝たせていけるようになれれば、変わってくるかなと考えています。




















