Jデビューで千金弾の福岡・遠野 工場で働きながらプロ目指した日々

西日本スポーツ 向吉 三郎

 ◆明治安田生命J2第1節 北九州0―1福岡(23日、ミクニワールドスタジアム北九州)

 5年ぶりの福岡ダービーを制したのはアビスパ! J2開幕戦となった「福岡ダービー」で、アビスパ福岡が4年ぶりにJ2に復帰したギラヴァンツ北九州を1-0で破った。ミクニワールドスタジアム北九州では初の福岡ダービー。アウェーのアビスパは前半終了間際、新戦力の遠野大弥(だいや)(20)のJ初出場初先発初ゴールでリードし、そのまま逃げ切った。

 福岡が掘り当てた原石がいきなり輝いた。前半44分。ペナルティーエリア内に5人入った総攻撃。ゴール前の混戦の後方にいた遠野の前でボールが弾む。「狙っていた」。右脚でボレーシュート。ボールは一直線の弾道を描き、ネットに突き刺さった。

 Jデビュー戦で開幕スタメンを勝ち取った20歳のプロ初得点は値千金の決勝点。「とても興奮しました」。キックオフから切れ味鋭いドリブル、スピードのある飛び出しで観客を魅了したFWが、5年ぶりの福岡ダービーで最も輝く場面を持っていった。

 静岡・藤枝明誠高から日本フットボールリーグ(JFL)のホンダFC(静岡)に加入。昨季まで3年間、社員として工場で働きながらプロへの道を模索した。ホンダFCは2019年度の天皇杯で札幌、徳島、浦和とJリーグ勢を次々撃破。8強入りしたこの大会で計5試合4得点を挙げた遠野に最初に声を掛けたのが福岡だった。

 後に争奪戦となり、遠野はJ1川崎を選ぶことになるが、前線からアグレッシブに仕掛ける長谷部新監督のスタイルに不可欠な存在。福岡の獲得への強い思いは伝わる。川崎と契約後、即期限付き移籍という異例の形で加入が決まった。

 「勝利の1点を挙げたところは良かった。だが、もう1点、またはアシストの場面をつくれた。突き詰めさせたい」。その才能を知るからこそ長谷部監督の評価は厳しい。本人も「まだ第一歩、スタートラインに立っただけ」と慢心はない。

 福岡ダービーを制し、2年ぶりの開幕勝利。次節のホーム開幕戦は昨季J1の磐田と対戦する。「自分は静岡(県)出身ですし、意識しています」。アビスパのルーツの地、藤枝市出身の“ダイヤ”は福岡で磨かれる。(向吉三郎)

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