無観客の中…見えた工藤ホークスの改革成果 敵将辻監督の伝説ほうふつ

西日本スポーツ 倉成 孝史

 ◆練習試合 ソフトバンク7―2西武(27日、宮崎・アイビースタジアム)

 進化した「足」でリーグ王者撃破! 福岡ソフトバンクの工藤公康監督(56)がテーマの一つに掲げる走塁改革に大きな手応えをつかんだ。今年初めて西武と激突した練習試合で快勝。新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため無観客となった試合は長打1本も、三森大貴内野手(21)が一塁から単打で生還するなど積極走塁で7点を奪った。強力打線を擁しながら昨季の総得点はリーグ4位。機動力にさらに磨きをかけて得点力を増し、必ず3年ぶりのリーグVを果たす構えだ。

■宮崎最終日

 無観客でなければ、間違いなくスタンドがどよめいたシーンだった。4回1死。併殺崩れで一塁に生き残っていた三森が甲斐への4球目でスタートを切ると、打球はベースカバーに入ろうとした遊撃手の左を抜けた。中堅左へと転がる間に三塁へ向かった三森は、村松三塁ベースコーチがグルグル回す手を見てさらに加速。三塁を蹴り、ヘッドスライディングで一気に本塁へ生還した。

 「アウトになるかなとも思ったが、よく走ってくれた」と村松コーチは三森の俊足をたたえ、してやったりの表情だ。相手守備にミスはなく、甲斐は一塁を回ったところでストップし記録は中前打。1987年の巨人対西武の日本シリーズで、当時現役だった西武の辻監督が見せた「伝説の走塁」をほうふつとさせるプレーで1点を奪った。

 この日は10安打のうち長打は1本だけ。それでも8回にもエンドランで得点を奪うなど、効果的な攻撃で昨季のリーグ王者に快勝した。この内容を誰よりも喜んだのが、工藤監督だ。昨季本塁打数はリーグトップの183本も、582得点は4位。トップで756得点の西武に174点もの差をつけられたことで、オフから昨季の戦いを洗い直し「走塁改革」を今季の大きなテーマの一つに掲げた。

 それだけに、実戦で見せた三森の走塁に「ああやって足のある選手が次の塁、次の塁を突いていけるというのはチームにとって大きい」と、改革が順調に進んでいることに手応えを見せた。村松コーチも「選手全員にああいう意識を持ってほしいし、継続的にやっていきたい」と、さらに走塁意識を高めていくことを強調。指揮官は「どうやったら1点を取れるのかを、しっかり考えながらやっていきたい」と、今季は破壊力に頼りすぎない攻撃を繰り出していく構えを見せた。

 それを可能にする選手もそろう。この日は周東が1番三塁、牧原が8番二塁で先発出場。現状は二塁の定位置を争うが、2安打を放った周東は三塁と左翼で守備に就くなどユーティリティー性も武器にしている。指揮官は「彼(周東)の足は相手にとって脅威。いろんなところを守れるのであれば、セカンドからサード、外野ということもできるし、バリエーションが増える」と起用法を描く。

 周東は昨季チームトップの25盗塁、牧原は3位タイの10盗塁。2人の「ダブル起用パターン」は、機動力の面で最強のカードとなる。足で西武を撃破した工藤監督は、晴れ晴れとした表情で1カ月にわたって滞在した宮崎を離れた。 (倉成孝史)

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