東京マラソン「結構ある」日本新の可能性 ラスト1枠争い大迫、設楽、井上の勝ちパターンは/解説

西日本スポーツ

 東京五輪男子マラソン代表の残り1枠を懸けた東京マラソンが3月1日、東京都庁前から東京駅前のコースで開催される。日本記録より1秒速い2時間5分49秒の設定記録の突破を目指し、大迫傑(ナイキ)と設楽悠太(ホンダ)の新旧日本記録保持者に、2018年ジャカルタ・アジア大会金メダルの井上大仁(MHPS)らトップランナーが集結。注目の争いを前に、北九州市出身で、マラソン解説者として活躍する金哲彦さん(56)は「日本記録が出る可能性は結構ある」などとレース展開を予想した。(聞き手・構成=伊藤瀬里加)

 -2月28日の有力選手会見を見た印象は。

 「大迫は(高地合宿した)ケニアに行って自信がついたようだ。顔色もいい。状態はいいでしょう。設楽はいつも通りかな。会見で周囲への感謝を口にしていたが、以前はああいうことを言うタイプではなかった。新たなモチベーションを見つけたのだろう。一番絞れていると思ったのは、井上。2時間4分台を目標に掲げていた。その気負いが裏目に出なければいいけど…」

 -レース展開をどう予想するか。

 「会見に出席した海外招待選手の3人は強い。第1集団は2時間3分台のペースが予想される。大迫、設楽、井上もハーフまではついていける。大迫は自重するかもしれない。今回、自重して設楽、井上がそのまま行ってしまうと、逆転できるか分からない」

 -高速レースが期待される。

 「天候次第ではあるが、日本記録(を更新する記録)が出る可能性も結構ある。大迫、設楽、井上の3人に村山謙太(旭化成)、佐藤悠基(日清食品グループ)が絡んでくるのか分かりませんが、いずれにしても可能性はあるでしょう」

 -大迫が出場を決断した。

 「ニューイヤー駅伝を見てもみんなすごかった。丸亀ハーフを見てもそう。待っていたらやられると思いますよね。レースを見ての準備では間に合わないので決断はもっと早かったと思う」

 -設楽の状態は。

 「丸亀ハーフマラソンで解説をしたが、状態はいいですよ。日本人トップではないけど、60分台(1時間0分49秒)ですからね。前半から同じようなペースでずっと行っていた。折り返し後に向かい風になるコース。15キロから上り基調になるが、みんな落ちなかった。設楽もその中にいた。最後は離れたけど、大失速していない」

 -井上は、金さんもテレビ解説したニューイヤー駅伝でエース区間の4区(22・4キロ)で区間新記録の1時間3分57秒。

 「1号車だったからあまり見ることができなかったけど、映像で見る限りはすごいですよね。(完走者で最下位だった)MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)後、やっと吹っ切れたというか…」

 -3人の走り方の共通点や特徴は。

 「3人とも(つま先から着地する)フォアフットの大きなストライドで、軽さがある走り。大迫は3人の中で一番失速しない。最後までまとめる力がある。ただ、彼はトラック時代からラストスパートで回転数を上げることが少し苦手。MGCの時もそうだった。大迫が勝つならラスト勝負ではなく、どんどん前に行くことでしょうね」

 -設楽は前半型。

 「設楽の強さは前半から勢いよく行くところ。勢いをどこまで保てるか。彼の勝ちパターンなら、2時間2、3分のペースについていき、前半から日本選手を引き離していく形」

 -井上も力がある。

 「井上は6分台で走った時も解説で見ていたけど、最後は設楽から離れた。そこを乗り越えられるか」

 -村山の潜在能力も高く評価されている。

 「身体能力は高い。ただ、スピードがあるとはいえ、高いレベルのマラソンの経験がない。前半はついていけると思うけど、後半、ハイペースで行ったときのまとめ方がどうだろうか」

 -最近では、小椋裕介(ヤクルト)が丸亀ハーフで日本新記録の1時間0分0秒をマークした。

 「未知数ですね。勢いはあるから分からない。ハイペースにはついていける。30キロ以降の走りをまとめる練習をしなければいけない。その辺りは、指導者の手腕がかかっている。どう戦略的にあの(丸亀)ハーフをマラソンにつなげるか」

 -日本人同士の勝負のポイントは。

 「どれだけ冷静に走れるか。36キロ付近の最後の折り返しまで足(の力)を残さないといけない。5分台を出すためには前半の下りからうまく走らないといけない」

 -ナイキの「厚底シューズ」が注目を集めている。

 「ナイキの一社勝ちではあるけど、一つの技術の進化だと思う。金栗四三さんの頃の足袋から、マラソンシューズに変わった時に飛躍的に記録が伸びたことと同じと考えればいいのでは」

 -効果はどう思うか。

 「着地衝撃の負担は減る。ただ、股関節周りには負担がかかる。履きこなすには相当、体幹を鍛えないといけない。履きこなすことができれば、ストライドが自然と大きくなるのでタイムは出る」

 -MGCの創設やコースの札幌移転など、マラソンを巡ってさまざまな出来事があった。

 「日本だけではなく、世界的に見ても危機感を持っている。マラソンという競技は第1回(近代)五輪の際につくられて深い意味があるのに、距離が長いとか、コースが大変だとかで周回になりつつある。あまりマラソンにリスペクトを感じないというか…」

 -愛好家は多いが。

 「市民ランナーは世界中にいるけど、実は海外はハーフ以下の種目が多い。五輪でできた種目なのに、五輪のマラソンという種目が面倒くさいなと思われてしまうことは、日本がこれだけマラソンが盛んな国だけに、ちょっと残念な気持ち」

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