東京マラソン車いす男子2位渡辺 元高校球児に投げ掛けた恩人の言葉

西日本スポーツ

 3月1日に行われた東京マラソン車いす男子の部で、今夏のパラリンピック東京大会の出場を目指す九州出身の選手が躍動した。渡辺勝(28)=凸版印刷、福岡市出身=が2位、洞ノ上(ほきのうえ)浩太(45)=ヤフー、福岡県飯塚市出身=が3位、山本浩之(53)=北九州市出身=が5位に入った。九州を拠点として競い合う3人は、パラ開催地でつかんだ手応えを自信に変えて東京パラの切符を狙う。

 渡辺は1時間30分0秒で2位。「走っている感覚は良かった」。2位以下の競り合いを制し、表彰式で笑みを浮かべた。

 福岡・九産大九州高で野球部の投手として活躍したが、19歳で交通事故に遭った。入院生活を送る中、車いすマラソンを始めるように勧めたのが、2008年北京大会から3大会連続でパラリンピックに出場している洞ノ上だ。洞ノ上が通っていた病院に渡辺が入院。医師に「スポーツをやっていた子がいる」と紹介されたのがきっかけだ。

 17歳上の洞ノ上から「早く俺の練習パートナーになれ」と声を掛けられながら、レベルを上げた。渡辺の視線の先にあったのは、そう叱咤激励してくれた先輩の背中。「この世界に導いてくれた洞ノ上さんは、自分にとっての師匠。ライバルという思いもあるし、一緒に走れる(レベルになった)うれしさがある」。日本を代表する選手となった今、福岡市で共に練習を続けるようになった。

 今年1月末に「レーサー」(競技用車いす)を10センチ低くするモデルチェンジを施した。膝を下げ、肩の位置が前に出るため、負担は増えるが、リングをより多く回すことができるようになるという。「こんな大幅な変更は考えていなかった」というが、決断に踏み切ったのは悔しさからだった。

 昨年11月、ドバイで開催されたパラ世界陸上選手権。1500メートルなどのトラック種目で東京大会の代表内定を得るチャンスで結果を残せなかった。「自信を持って臨んだのに全く勝負にならなかった。何かを変えないと、どうしようもないと思った」。パライヤーを迎え、世界と戦うために変化に挑んだ。

 そのパラ世界陸上の直後、大分国際車いすマラソンで日本人2位の4位となり、今年4月のロンドン・マラソンに日本代表で出場する。結果次第では東京大会出場に大きく近づく。「まずは確実に代表入りしたい」。経験豊富な九州の先輩や世界の強敵との戦いを制し、目標の大舞台を目指す。(松田達也)

日本パラ陸上競技連盟が発表している東京パラリンピックの車いすマラソン代表選考基準は次の通り。

 (1)昨年のロンドン・マラソンで4位以内。

 (2)今年の同マラソンで6位以内、なおかつ東京パラ大会出場内定者を除いて上位2人に入る。

 (3)国際パラ陸上競技連盟(WPA)が設定したハイパフォーマンス標準記録を2018年10月1日から今年6月7日までのWPA公認大会で突破。

 以上の条件で対象が男女各3人を超えた場合、選考の優先順位は(1)(2)(3)となる。男子の鈴木朋樹(トヨタ自動車)は昨年のロンドンで3位となり、東京大会出場を内定させている。

 


 

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