「いいぞ、いいぞと思って走った」一山、ワコール監督の一問一答

西日本スポーツ

 ◆名古屋ウィメンズマラソン(8日・ナゴヤドーム発着)

 2時間20分29秒で優勝して東京五輪代表入りを決めた一山麻緒(ワコール)=鹿児島県出水市出身=とワコールの永山忠幸監督が、レース後、記者会見で喜びを語った。

 

 -本日のレースを振り返って。

 【一山】今日は自分がしたいと思った走りがスタートからゴールまでイメージ通りにできたかなと思います。

 -30キロ手前で一度ペースが落ち着いた。何を考えていたか。

 【一山】30キロすぎの給水でレースが動くとアドバイスをもらっていた。給水を取り遅れて海外の選手に遅れるより、一番で取ってそこから勝負する方がスムーズに運べる。29キロくらいからは自分で行くんだと思っていた。30キロまではジョグ感覚と言ったら言い過ぎだけど、ゆとりを持って走れたら。途中で設定より速いかなと感じたけど、いいぞ、いいぞと思って走っていた。

 -雨もあった。昨年の東京でも経験したが。

 【一山】気にならなくはなかったけど、似た環境で走るとなって、去年がいい経験になったので、あまりネガティブに考えなかった。今までやってきたことは今日みたいな雨に負けるようなものではないと信じた。

 -五輪代表の実感は。

 【一山】中学生くらいの時から東京五輪に出たいなとぼんやりと思っていた。今、手にすることができたのはうれしい。五輪を決めた実感はそこまでないです。

 -マラソンに憧れを抱いたきっかけは。日本の女子マラソンへのイメージは。

 【一山】高橋尚子さん、野口みずきさん、有森裕子さんが世界で活躍しているイメージ。でも、やる前は憧れでしかなかった。いつか走りたいというくらい。高校くらいから、恩師の後押しというか、マラソンで行けるぞみたいな一言がきっかけで目指したいなと思った。ワコールではマラソンで東京五輪に出たいと言ったのを覚えている。

 【永山】一山は高校2年の時にワコール入りを決めた。スカウトからマラソンで五輪に出たい子がいると聞いた。2年で決めてくれるなら採りましょうと決めた。一山が(ワコールの本拠地)京都に来るまで走りを見ていないし、スカウトもしていない。スカウトから聞いて、それだけの思いがあるなら育てないといけないと思った。卒業式が終わって生活や練習を見て、すごく素直で競技者として素晴らしい資質があるし、伸ばしたいなという気持ちがあった。この結果になるまで、選考レースで1等賞を取らせてやれなかった。福士(加代子)は狙ったところで外さず1等賞を取っていた。なぜ一山は取れないのかと思った。頭ごなしの指導で何で何でとかみ合わない時期もあった。MGC終わってからはもう一度私自身が子どもになっていた部分を反省したし、4年前の約束は守るためにあるし(一山も)優しいメニューを鬼鬼メニューと言って外さずやってくれた。それが今回の結果につながった。

 -33キロ付近の上り坂について。

 【一山】試走で1、2回走ったが、アップダウンのある駅伝に比べれば短い。たった100メートルちょっとの坂。一番のポイントと思っていたが悪い印象なかった。

 【永山】29キロ手前の城見通の所。あそこの交差点で行くと立てていた。昨日は一山とトレーナーとミーティングして、彼女もそういうことを言っていた。戦略はできあがっていた。あとは大阪(での松田瑞生)とのタイム差がどれくらいか。後半は一山の練習からイメージできていた。大会まで彼女の状態がピークがずれないようにと。そして何としても開催してもらいたかった。33キロ付近の上りは一山同様意識していなかった。

 -MGC後のターゲットタイムは。

 【永山】初マラソンだった昨年の東京で、安藤(友香)の初マラソンのタイム(2時間)21分36秒を破る21分30秒を意識して練習した。今日よりちょっと環境恵まれずに達成できなかったけど、練習の消化状況とか見た時に、大阪の(松田の)タイムは届かないタイムではないとどんどん思った。松田選手の通過ラップが30キロまで驚異的だったので、あのまま(2時間)20分台に突入すると私自身がプレッシャーがかかって見直さないといけなかったけど、神様も味方してくれ、さほど気にせず練習積めた。あと本人には言ってなかったけど、私は(2時間)21分を切れたらいいなと思っていた。野口さんの国内最高を動かしたい(更新したい)と思った。ハーフマラソンで新谷(仁美)さんが1時間6分台、青梅で前田(穂南)さんが(30キロの)日本最高記録、広中(璃梨佳)さんの5000メートルのジュニア記録。今どんどん(記録を)変えないといけない。MGCはMGCで、それよりも自分たちのやりたいことをぶつけようと思った。

 -どうやって力を発揮させようと。

 【永山】福士君で12、13回のマラソンをやったけど、その1・2倍の運動強度にしたいなと思った。福士君が好きではない練習も取り組み、5キロ8本で後半のペースを一気に切り替える。海外メジャーの大会は全て30キロで動く。その前に勝負できる足をつくりたいと思った。脳内環境で(1キロ)3分20秒できつさ感じないようにやってきた。世界とのタイム差を縮めるには、日本人の我慢強さの中で体感スピードを1秒上げるだけで全然違う。ハーフマラソンや1万メートルのタイムを上げ、通過タイムで余裕を持てるようにやってきた。

 -ターゲットタイムを聞いた時の印象は。今回の(2時間)20分台をどう思うか。

 【一山】松田さんが途中まで20分台(でいきそう)と言われていてどうしようと思ったら、フィニッシュが21分47秒。21分30秒を目指して練習をしているので(抜く)可能性はゼロじゃないと思った。監督の鬼メニューを信じてやってきました。でも21分47秒を突破する狙いだったので、今日のタイムを出せたのはうれしいです。

 -MGC前後の苦しい時期の支えは。

 【一山】周りの応援してくれる人だったり、家族の支え。何よりワコールのスタッフが細かいところまでサポートしてくれた。ありがとうと一番何で表現できるか。走りと結果で伝えられる。今日は恩返しの気持ちを込めて走った。

 -福士の存在は。

 【一山】福士さんがいなかったら、今の私はいない。4大会連続で五輪に出ている偉大な先輩なので、毎日いい環境で過ごせている。

 -30キロすぎからの一人旅は楽しそうだった。

 【一山】苦しい時間はそんなになくて、30キロからが勝負だと思って、ここからだぞというわくわくがあった。あまりきつい顔はしなかったと思う。早くゴールしたいと思って走っていた。

 -MGCが終わった後、2カ月ほど立ち直るのに時間かかったと聞いた。成長した部分と取り組んだことは。

 【一山】1カ月くらいは気分も乗らず走りたくなかった。心と体が連動せずつらかった。10月15日くらいから、駅伝もあったし、心と体が気持ち通りに動いた。それ以降は徐々に走れるようになって、練習も休んでいない。何より自信になるのは鬼メニューをこなすことなので(笑)。監督のメニューこなせたら大丈夫というのが一番大きかった。オンとオフの切り替えもしっかりできた。

 -永山監督へ。五輪に向けての青写真は。

 【永山】昨日までは五輪切符を取りたいというメニュー。これから練習環境、メニューを見直していく。先ほど言ったように、体でペースを覚えてくれたら、そのペースでのゴールが見えてくる。今は青写真がないけど、彼女と相談しながら。メニューは鬼と言われようと何と言おうとやるしかない。東京五輪に向け、私たちだけではなく日本女子の悲願に届くよう、もう一段階スキルアップするしかない。

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