二塁レギュラーでなくとも…周東の脅威、再認識するには十分な数秒間

西日本スポーツ 石田 泰隆

 ◆タカ番記者コラム「好球筆打」

 やっぱり脅威だ。脅威でしかない。周東の「足」だ。同点に追いつかれた直後の8回。5番リチャードが2死から死球で出塁すると、代走として登場した。「準備はできていました」。勝ち越し点を奪うために切られたスペシャルカードは、果敢に二盗を試みた。

 6番明石への初球。スタートを切った直後からトップスピードに乗ると、前傾姿勢のまま塁間を駆け抜け、最後はスピードを殺さない、ベースに突き刺さるようなスライディングで二塁を陥れた。あまりの“早業”に、相手捕手の白浜は送球すらできなかった。

 「ベンチでも、映像でも、投球フォームは確認済みだったので、自分のタイミングでスタートを切れた。今年は試合の中であまり走れてなかったので、スタートを切れたという点に関しては良かったと思います」

 マウンドのDJ・ジョンソンの投球タイムは1・25秒と、投手の及第点とされる平均的な数字だった。決して、外国人特有のクイックモーションを苦手とするタイプではなかった。そんな状況で、オープン戦とはいえ、終盤の8回に初球で盗塁を決められたことは、本人にとってもチームにとっても収穫でしかない。

 意外だが、これが周東の今春オープン戦初盗塁だった。そして「実はオープン戦で盗塁を決めたこと自体、初めてなんです」とさらに意外な事実を口にした。昨季は主に代走としてチームトップの25盗塁を記録。足のスペシャリストとしての地位を確立し、昨年11月の国際大会「プレミア12」では侍ジャパンの一員に選出されるまでになった。

 そんな「一芸」に秀でた身ながら、今春は春の宮崎キャンプから牧原とともに二塁の定位置争いを演じてきたが、ここまでの起用法を見る限り、今季も「足の切り札」的存在として重宝されることになりそうだ。

 レギュラーの座を目指した周東からすれば悔しい限りだろうが、チームという枠組みで捉えた場合、これほど大きく、効力を持つ武器はない。「どんな形でも、チームの力となれるように全力を尽くすだけです」。今季も周東の「足」が重大な局面で輝きを放ち、勝利を運んでくるはずだ。(石田泰隆)

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