競歩の藤井菜々子、五輪切符に涙にじむ 競歩生活初の故障「戸惑いと焦り」乗り越え

西日本スポーツ 末継 智章

 東京五輪代表選考会を兼ねた陸上の全日本競歩能美大会は15日、石川県能美市の日本陸連公認コースで行われ、20キロの女子は20歳で昨年の世界選手権7位の藤井菜々子(エディオン)が1時間33分20秒で初制覇し、初の五輪代表入りを決めた。岡田久美子(ビックカメラ)に続く2人目の決定。20キロの男子は21歳の池田向希(東洋大)が1時間18分22秒で初優勝して日本陸連が定めた条件を満たし、初の五輪代表に決まった。

 藤井は5キロ付近で先頭に立ち、残り3キロから独り旅。世界選手権7位の貫禄を示した優勝でも、ゴール後はめったに見せない涙がにじんだ。「1月に(右脚を)けがしてから苦しくて。多くの方々のサポートのおかげで五輪代表になれた」。出迎えた両親や関係者に感謝の言葉を繰り返した。

 福岡・北九州市立高1年の冬に左脚を負傷してリハビリの一環で競歩を始めてから約4年。故障は競歩生活で初めての試練だった。2月の日本選手権を欠場。「戸惑いと焦りが日々飛び交い、五輪に出られるのかとも考えた」と打ち明ける。

 支えた1人が高校時代から懇意にしている東京在住のトレーナーで北九州市出身の有吉与志恵さんだ。スポーツクライミング五輪代表の楢崎智亜(TEAM au)らと専属契約を結ぶ有吉さんの指導で患部の周りの筋肉を鍛え、故障の一因だった右膝が内向きに入る歩き方も修正。今大会に間に合った。

 昨年2月の日本選手権で五輪派遣設定記録を突破。今回は優勝すれば五輪代表に決まる条件だったこともあり「記録より勝負を優先した」。最初の1キロを4分55秒で入ったスローペースの先頭集団で様子を見ると、少しずつペースを上げてライバルたちを振り落とした。

 自己記録より4分以上も遅い優勝タイム。苦しみながらつかんだ勝利に日本陸連の今村文男コーチは「今まではトップクラスの先輩に陰ながらついていたが、今回は勝つためにどうするかという準備ができていた」と成長を認める。藤井は「メダル獲得を目標にしたいけど、まだまだ未熟。目標というより挑戦する気持ち」と次の試練に向けて闘志の炎を宿した。 (末継智章)

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