涙の五輪切符 競歩・20歳の藤井菜々子に恩師から届いた1通のメール

西日本スポーツ 末継 智章

 東京五輪代表選考会を兼ねた15日の陸上・全日本競歩能美大会、20キロの女子は昨年の世界選手権7位の藤井菜々子(20)=エディオン=が1時間33分20秒で初制覇し、初の五輪代表入りを決めた。岡田久美子(28)=ビックカメラ=に続く2人目の決定。1月に右脚を痛めるアクシデントを乗り越え、ゴール後はめったに見せない涙がにじんだ。

 藤井の優勝を現地で見守った北九州市立高陸上部の荻原知紀監督はレースの1週間前「あの時のイメージを持ちなさい」とメールを送った。

 “あの時”とは全国高校駅伝出場を懸けた2016年11月の福岡県高校駅伝だ。故障した3年生の代わりに2年生の藤井をエース区間の1区(6キロ)に起用。荻原監督は駅伝の号砲を前に「東京五輪を目指すなら選考レースがあり、重圧がかかるはず。筑女(筑紫女学園高)との戦いも重圧がある。五輪選考レースのつもりでスタートラインに立ったらどうか」と言葉を掛けた。

 同年夏の全国高校総体女子5000メートル競歩で優勝したが、競歩で五輪代表になれる確信はなかった。それでも将来を考え、駅伝の練習もしていた藤井に重要な役割を任せた。区間3位でチームも敗れたが「藤井なりに頑張ってくれた」と粘りの走りを記憶にとどめる。

 学校がある北九州市戸畑区は1964年東京五輪マラソン代表の君原健二氏が練習拠点にした街。荻原監督は「君原さんと同じロードの耐久競技。巡り合わせを感じる。本当にこういう日が来るとは…」。3年半前に掛けた言葉が現実に。重圧を乗り越えた教え子を笑顔で出迎えた。(五輪担当・末継智章)

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