開幕延期が転機に 全米ドラ1スチュワート、デビュー白星で動き出した運命

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 ◆練習試合 ソフトバンク4-2ロッテ(20日、ペイペイドーム)

 歓声のないドームで注目右腕が堂々のデビューを飾った。福岡ソフトバンクの来日2年目、カーター・スチュワート投手(20)が1軍対外試合で初登板。制球に苦しむ場面もありながら5回1失点で“初勝利”を挙げ、最速154キロと大物の予感を漂わせた。工藤監督は前向きな言葉を連発し、この日までの予定だった1軍帯同の延長を決定。開幕が見えない中、次世代のスター候補が春らしい朗らかな話題をもたらした。

 2020年シーズンが始まるはずだった「3・20」が、スチュワートの“1軍デビュー”となった。本拠地のマウンドに上がったのは開幕投手の東浜ではなく、18年の米大リーグドラフト1位指名右腕。今春キャンプ中に1軍の紅白戦で登板機会はあったが、対外試合では初めてだ。「緊張と興奮があった」と初回だけで3与四球も、大器の片りんをのぞかせたのはそこからだ。

■5四球に課題も

 2死満塁。菅野に対し150キロ超のツーシームを3球続けた後、縦に割れるカーブで追い込む。勝負球はフォーシーム。昨年6月の来日以降で最速となる154キロをど真ん中に突き刺し、空振り三振でピンチを切り抜けた。グラブの土手をぽんとたたいた右腕は「あそこをゼロで抑えられたから、2、3回と勢いに乗っていけた」と振り返った。

 4回にレアードにソロを浴びたものの5回、93球を投げ被安打3、1失点。5四球を与えた一方で5三振を奪うなど、課題と収穫がはっきり出た中でも“初勝利”をつかみ取った。「いいボールを投げれば、1軍の打者からでもアウトを取れる」。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により開幕延期になったことから巡ってきたチャンスで、手応えをつかんだ。

 本当なら開幕する試合だった「3・20」のマウンドに抜てきした工藤監督は能力を高く評価した。「本当に打ちづらいピッチャーになると思う」「またチャンスを与えられる機会があれば見たい」「けが人が増えていけば戦力としてやってもらう可能性はゼロとは思っていない」など、口から出る言葉はいずれも前向きなものばかり。当初はこの試合まで期間限定で1軍に帯同する予定だったが、21日もペイペイドームで調整させることを決めた。

 来日2年目の右腕は、筑後のファーム施設には福岡市内から一人で地下鉄と新幹線を乗り継ぎ約1時間かけて通勤している。チケット購入の手順などもよどみなく、電車の中では路線図を熱心に読み込むことが日課。もっとも今後の成長のスピード次第では、筑後通いを“卒業”する日もそう遠くないかもしれない。「1軍で投げられるようになるのが目標。まず今は2軍の中で1番の投手になれるように」。入団会見で「日本一の投手」を掲げた20歳が、着実にステップを上がっている。 (鎌田真一郎)

PR

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング

PR

注目のテーマ