金メダル期待の空手女子・宮原美穂 復活の裏にカミナリとタピ活制限

西日本スポーツ

 東京五輪で初実施される空手競技の日本代表が男女全8種目で確定した。女子組手55キロ級の宮原美穂(23)=帝京大職、福岡市出身=は金メダルを期待される一人だ。2018年の世界選手権同50キロ級で優勝後、国際大会で結果を残せなかったが、2月末から3月にかけてのプレミアリーグ(PL)ザルツブルク大会で優勝。今年に入って復調気配を見せる世界女王が上り調子で晴れ舞台に挑む。(伊藤瀬里加)

 母校帝京大で稽古に励む動きは、軽快そのものだ。輝きを取り戻した世界女王の宮原。「自分の組手をして金メダルを取りたい。代表に選ばれたからには、出られない選手の分まで(頑張る)覚悟を決める」。次回2024年パリ五輪の追加種目候補から外れ、現時点では一度きりとなる五輪の晴れ舞台を見据える。

 2年前に世界の頂点に立ち、女子軽量級のエースとして飛躍が期待されながら昨年は国際大会で優勝できなかった。「つらいし、きついし、何してもうまくいかない一年だった」。太ももの肉離れや肋間(ろっかん)神経痛など相次ぐ故障。これまで以上に研究されたこともある。棄権や早期敗退が続いた。

 苦境打破へ、技の幅を広げようと得意ではなかった中段突きや蹴りを磨いた。だが、実際の試合では「失敗を恐れていけなかった」。9位に終わった昨年11~12月のPLマドリード大会後。帝京大の香川政夫師範にその消極的な姿勢を指摘され、大学の道場に響き渡るほどの大声で怒鳴られた。

 香川師範から叱られた経験はなくショックは大きかった。自主練習期間だった年末は胴着に袖を通すことができなかった。ただ、一時期空手から離れたことで心身ともにリフレッシュ。元旦に地元福岡の西福岡道場の初稽古に参加すると「純粋に、やっぱり楽しい」と初心を取り戻した。

 年明けから課題克服と徹底的に向き合い、1月のPLパリ大会では準優勝。失敗を恐れていた中段突きで得点を重ねて手応えをつかむと、次戦のPLザルツブルク大会で約1年ぶりの優勝を飾り、五輪出場を確定させた。

 体調管理への気配りも復活を後押しした。社会人となった昨春から、帝京大の施設で栄養管理された食事を続ける。栄養士の助言を受け、一時は毎日飲んでいたタピオカ入り飲料や、遠征先に大量に持ち込んでいたグミを控えた。趣味の“タピ活”を制限することで、苦労した減量がスムーズになり、遠征前の空港でうどんを口にできる余裕もできた。

 1階級上の55キロ級と統合される東京五輪。体重無差別の全日本選手権で17年に準優勝するなど、リーチで上回る相手に対しても自信はある。「スピードや(懐に)入る勇気は自分が一番あると思う。迷わないこと」。己の恐怖や迷いに打ち勝った時、もっとも輝く色のメダルが見えてくる。

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