アメリカで千賀が見たもの 酷な結果と、メジャーとの距離感/復刻

西日本スポーツ

 ◆日めくりソフトバンク 誕生15周年

 ソフトバンク球団は今年15周年。球団がソフトバンクとなった2005年からの出来事を、過去の西日本スポーツ掲載記事で振り返ります。

 2017年3月22日(米国時間21日)は第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一奪還を狙った小久保ジャパンの戦いに幕。米国に乗り込んだ千賀も、酷な結果に直面しました(年齢などは当時)。

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 ホームも世界一も遠かった。2大会ぶりの優勝を目指した日本は米国に1-2で敗れ、決勝に進むことができなかった。メジャー投手の動くボールに対応できず強力打線がわずか4安打と沈黙。雨のグラウンドで守備も乱れ、前回大会に続き準決勝で力尽きた。世界一奪還の悲願を果たせず、今大会で契約の切れる小久保裕紀監督(45)は退任の意向を表明した。侍ジャパンは23日に帰国する。

 侍投手陣を支えた屋台骨が揺らいだ。同点の8回1死一塁。低めに決まっていた千賀のフォークが真ん中に入った。キンズラーに捉えられ、左中間フェンス直撃の二塁打。「あそこでスッと甘く入ってしまう自分の制球のなさを痛感した」。二、三塁。続くA・ジョーンズは内角直球で三ゴロも、松田がファンブルして本塁返球できず失点。自身大会11イニング目の初失点が決勝点。あまりに酷だった。

 「この試合、クイックで初めてのフォークだった。それをしっかり決める準備をしておかないと。チームの代表として、一人マウンドに上がらせてもらう中で申し訳ない気持ち、情けない気持ちがあります」

 出番は追い付いた直後の7回。菅野の後を受けた。「雨も降って湿気が多かったので球は投げやすかった。マウンドが若干、滑った中でも投げられた。自分がこんなに集中できるんだとあらためて思えた」。全球種を操った。敵地のUSAコールも「どうこう思わなかった」。ホスマー、マカチェン、ポージーを3者三振の滑り出しだった。

 続く8回は、メジャー7年連続20発超のスタントンを、フォークで空振り三振に仕留め4連続K。「普段テレビで見る選手ばかり。すごいなと思ったけど、マウンドに上がったら一人の打者としか見てなかった」。続くクロフォードに直球を右前打され、冒頭の場面へつながる。失点後、イエリチをフォークで三振に仕留めたのは意地だった。

 代表入り発表前の年明け早々、電話が鳴った。小久保監督だった。「一緒に世界一を取ろう」。初代表だった昨秋の強化試合で痛めた左膝のリハビリ中。「えっ。リハビリなのに」と驚いた。その時期から声を掛けてくれた期待に応えたい一心だった。米国でも手になじませようと、酷暑のアリゾナでのランニング中もWBC公認球を握った。

 初出場の今大会は計11回16奪三振。救援勝利に始まり、黒星で終えた。「もう一つ壁を越えなきゃいけないと教えてくれた」。再出場の意欲については「そこまでは今は考えられない。まずは自分を高めることが一番」と言った。華々しい記録と消せない記憶を刻み、育成の星は帰途に就く。(森 淳)

(2017年3月23日付、西日本スポーツより)

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