柔道女子78キロ超級・素根「五輪1号」早期内定生かせず

西日本スポーツ 末継 智章

 今夏に予定されていた東京五輪、パラリンピックが新型コロナウイルスの感染拡大を受けて1年程度延期されることが決まった。

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 柔道で男女を通じて日本代表第1号だった女子78キロ超級の素根輝(19)=福岡県久留米市出身=がコロナ禍にのみ込まれた。念願の五輪代表に決定した昨年11月以降、今年7月31日の試合日に向けて東京や久留米市にある母校の南筑高などで調整を続けていた。だが関係者によると、最近は母校も同市の要請で部活動ができず、素根も練習場が使えずに実家で待機。追い打ちをかけるように延期の知らせが届いた。

 素根は全日本柔道連盟(全柔連)が五輪に向けた十分な準備期間の確保を目的につくった早期内定のシステムを生かし、担ぎ技に磨きをかけるなど、もう一段階のレベルアップを図っていた。だが、その成果を確かめるはずだった3月の国際大会は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止になり、実戦の機会が消滅。「大会に合わせて準備をしていたのに…」と落胆を隠せず、先が見えない状況に頭を抱えていた。

 同市の田主丸中1年だった2013年に東京五輪開催が決定。自国開催の五輪での金メダルを夢見ると、世界のトップレベルに追いつくために座右の銘の「3倍努力」を欠かさず続けてきた。1日約6時間の練習以外も動画で自身やライバルの試合を研究。ストイックな取り組みが実り、個人戦では初出場となった昨夏の世界選手権で優勝した。昨年11月のグランドスラム(GS)大阪大会も制し、五輪切符をつかんだ。

 だが早期内定のアドバンテージは吹き飛んだ。獲得した念願の五輪出場の権利が守られるかも不透明だ。神は乗り越えられない試練は与えないというが、あまりに残酷な試練だ。素根は青春の全てを柔道にささげて「東京五輪の先は今のところ考えられない」と目の前に集中してきた。関係者には「引き続き稽古を頑張ります」と伝えたが、気持ちを保ち続け「3倍努力」を続けられるか。 (末継智章)

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