ソフトバンク千賀、五輪延期に思う 育成時代から身近で遠い人の胸中

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 東京五輪の1年程度の延期決定を受け、福岡ソフトバンクの千賀滉大投手(27)が他競技のアスリートの心中をおもんぱかった。ソフトボール女子日本代表のエース上野由岐子投手(37)=ビックカメラ高崎、福岡市出身=と自主トレをともにした右腕は、4年に1度の大会にピークを合わせて調整してきた選手への影響が甚大と心配し、プロ野球選手には「想像できないこと」と事の重大さを受け止めた。

 まず思い浮かんだのは、4年に1度の祭典に照準を合わせて懸命に汗を流してきたアスリートの姿だった。新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大で今夏予定されていた東京五輪の1年程度の延期が決まってから一夜明け。筑後第二球場でランニングを終えた千賀は「僕は何も話せない」と口を閉ざしたが「一国民として」と切り出すと、一気に思いがあふれた。

 「4年に1度のために戦っている競技の選手たちは、本当に大変だと思う。(五輪の)存在価値や、それに向かう(選手の)覚悟が違う。1年延びるということは、僕らには想像できないこと」

 五輪で初めての延期という事態が持つ意味は、プロ野球選手でも全てを理解するのは難しい。千賀は「野球選手はシーズンの中で大会(五輪)があるという取り組み。シーズンを戦う中で(代表に)選ばれることが光栄という選手がほとんど」と持論を展開した。

 万全な状態であれば東京五輪でも投手陣の柱として期待される右腕は「身近にそういう人がいるからこそ、こういう感情が出てくるのかな」と付け加えた。「そういう人」とは、東京五輪を集大成と位置づけているソフトボールの上野だ。

 育成選手時代の2012年の合同自主トレで知り合い、今年1月も自主トレをともにした上野からは「もっと成長したいと思わせられる存在」と大いに刺激を受けた。さらに「日本を背負っていくというか、日本代表のエースとして地位を上げてほしい」とエールを送られた。ソフトボールは日本が上野の大活躍で金メダルを獲得した08年の北京大会以来、3大会ぶりの実施競技復帰。自国開催の祭典にかけるレジェンドの思いが、千賀にも伝わらないはずはなかった。

 千賀自身は五輪以前に20年の開幕に照準を合わせながら、右前腕部の張りで1カ月以上ノースロー調整が続く現状にふがいなさを募らせている。シーズンの活躍が五輪へつながる-。そう理解するエースは、コロナ禍で目まぐるしく状況が変わる中でも黙々と復活への道を模索している。 (鎌田真一郎)

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