就任5年で日本一4度の工藤監督 その初陣は波乱に満ちていた/復刻

西日本スポーツ

 ◆日めくりソフトバンク 誕生15周年

 ソフトバンク球団は今年15周年。球団がソフトバンクとなった2005年からの出来事を、過去の西日本スポーツ掲載記事で振り返ります。

 工藤監督が就任した15年の開幕戦は3月27日。しました(年齢などは当時)。

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 初陣、飾れず-。2015年シーズンの船出、新生工藤ホークスがロッテに敗れた。引き分けを挟んだ開幕戦の連勝は6でストップ。オープニングゲームでの黒星は2007年以来、実に8年ぶりだ。エース摂津正投手(32)は初めて開幕戦の負け投手となった。新4番の内川聖一外野手(32)は好機で2併殺。2点差に迫った9回2死二、三塁のチャンスでは二ゴロに倒れた。ただ、最後に見せた諦めない反撃は次につながる。さあ、きょうこそ初勝利だ。

 黒星スタートでも、工藤監督は下を向かなかった。9回、1点をかえしなおも二、三塁の好機で、内川の放った一、二塁間への打球はクルーズに好捕されゲームセット。ホークスにとって実に8年ぶりの開幕黒星だ。満員に膨れあがったスタンドはため息に包まれたが、指揮官はさばさばした表情で前だけを向いた。

 「ドキドキしました。最高にドキドキしたのは9回。この悔しさを明日晴らせるようにしたい」

 球団初の連続日本一へ向けた開幕戦。独特の雰囲気が、攻守で選手に硬さを生んだ。互いに無得点で迎えた3回だ。無死から連打でできた一、二塁の好機で、4番内川が涌井の内角シュートを引っ張って三ゴロ併殺打。2点追う7回にも、再び4番が1死一、三塁で遊ゴロ併殺打に倒れ、得点チャンスをつぶした。

 今季から4番を任される内川は「僕が打っていたら間違いなく点は入っている。みんなに申し訳ない」と、敗戦の責任を背負い込んだ。今季から新主将も任される男は「結果は受け止めてまた明日から取り返す」と指揮官同様に前を向いた。昨季はわずか5併殺。1試合2併殺は2005年以来10年ぶりという屈辱だった。

 6回には鶴岡の悪送球に松田の適時トンネルと、1イニングに二つの失策が生まれるなど守備でもミスが続発した。それでも指揮官は「緊張感は当然ある。エラーをしない選手はいないし、エラーをしたら練習すればいい。責めるつもりはない」。終わったことを悔やむのではなく、今後に生かすことだけを考えている。

 開幕当日の朝、この春から神奈川県内の高校に進学し野球部に入部する次男と、専門学校で栄養士の資格を取った三女が朝食を準備してくれた。「パパが大好きなものを普段通り」と、テーブルに並んだのはきな粉餅。子供らからもパワーをもらい、強攻策あり、犠打あり、9回2死からの盗塁あり、と理想に掲げる「相手が嫌がる野球」を初戦からいかんなく披露した。

 敗戦後、ベンチ裏に引き上げると開口一番、王球団会長に「すいません。負けてしまいました」と頭を下げた。「明日からいこう!」。王会長の野太い声に、表情を引き締めた指揮官が今日こそ、記念すべき初勝利を飾る。(倉成孝史)

(2015年3月28日付、西日本スポーツより)

※ソフトバンクはこの年90勝49敗4分けでパ・リーグを独走。リーグ2連覇と2年連続日本一を達成した。1年目から昨季までのリーグ順位は1、2、1、2、2。就任5年間で日本一に4度輝いている。

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