ソフトバンク甲斐の1発に詰まった進化 打てる捕手像「見えつつある」

西日本スポーツ 石田 泰隆

 福岡ソフトバンクの甲斐拓也捕手(27)が会心の一撃を放ち、着実に「打てる捕手」へと進化している姿をアピールした。27日、シート打撃で開幕投手に指名される東浜巨投手(29)から、狙い球ではない変化球を左翼席へ。今季から憧れの捕手に挙げる野村克也氏(享年84)が背負った背番号19を受け継ぐ男は、自慢の守りだけではなく、自ら課題に挙げるバットでも成長した姿を偉大な先輩に届けるつもりだ。

 打った瞬間、甲斐は本塁打を確信したのだろう。打席内でニヤッと表情を緩め、満足そうに打球方向を目で追っていた。逆に、打たれた東浜は着弾点に視線を送ることもなく、マウンド上で打席の甲斐に向かって「ナイスバッティング」と声を掛けていた。それほど会心の打球だった。

 「シンプルに、真っすぐにタイミングを合わせてスライダーを打てた。うまく反応できた。きょうに関しては、いい打撃ができた」

 甲斐は納得した様子で、開幕投手右腕からの一打を振り返った。東浜は最後の実戦から2週間が空き、実戦感を失わないための志願登板だったが、甲斐も「巨さん(東浜)が投げると聞いたので、生きた球を見ておきたかった」と志願参加だったことを明かした。

 今季から背番号を19に変更した。球団OBでもあり、捕手として憧れを抱く故野村氏が背負った番号だ。その重さは誰より分かっているからこそ、時間を見つけてはバットを振り込む。自慢の守備に加え、打撃面での成長が求められることも十分理解しており、故野村氏のような「打てる捕手」を目標とする。

 2月の宮崎キャンプ中には「頭にないボールに対して、自然と反応できれば最高」と打撃論を語るほど、頭の中は打撃でいっぱいだった。その思考が身につきつつあるのか、この日は狙い球の直球ではなく、タイミングをずらされたスライダーに瞬時に反応し、左翼席まで運び去った。成長を証明するには十分すぎる、完璧な一撃だった。工藤監督からは「本番で打てよ」とやじまで飛んでいた。

 本塁打以外にも中前打2本、右翼フェンス直撃の安打1本と、計6打席で4安打と東浜に完勝した。「これから先、自分がどうしていけばいいかが見えつつある」。新型コロナウイルスの感染拡大で開幕が大幅に遅れるなどプロ野球界も暗い話題に包まれるが、甲斐が目指す「打てる捕手」像には光明が差しつつある。 (石田泰隆)

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