育成出身ソフトバンク尾形のストレートは魔球? 鷹の「火の玉」を検証、見えてきた特異性

西日本スポーツ 森 淳

 福岡ソフトバンクの尾形崇斗投手(20)が育成3年目の今季、支配下登録を勝ち取った。春季キャンプから1軍で強烈アピール。結果はもちろん、気迫を前面に出した投げっぷりが目を引いた。プロ野球のデータを独自に収集、分析するDELTA(デルタ)社の調べで、尾形の「直球で空振りを奪う能力」を検証。名だたる面々に匹敵するポテンシャルや、球界平均からかけ離れた特異性が見えてきた。(構成・森 淳)

   ◇   ◇   ◇

 オープン戦は5試合に登板し計11回無失点。短いイニングで力投を重ねた。本職のスターターを立てなかった15日、広島との最終戦では初先発も経験。4回1安打無失点と結果を残した。練習試合は未登板だ。

 奪三振率(9回当たりの奪三振数)は昨秋のみやざきフェニックス・リーグで20・25、アジア・ウインターリーグで17・74と驚異の数字を残した有望株。オープン戦の奪三振率は救援登板時で7・71だった。「おらぁ」の発声とともに、浮き上がるような軌道も印象付けた、最大の武器ストレート。今春ここまで1軍ではどれだけ通用したか。

 【表1】には尾形のオープン戦での「ストレート空振り率」、つまりストレートを投じて打者が空振りした割合がある。救援登板時のストレートは空振り率12・9%(70球中9球)で、平均球速147・1キロ。先発ではさすがに同様というわけにはいかず、空振り率2・7%、平均球速143・0キロだった。

 舞台は1軍とはいえオープン戦。サンプル数もまだ少なく、先発は対戦1球団、1球場だけ。あくまで参考の情報であることも踏まえながら「救援投手・尾形」の1軍での可能性を探る。

 【表2】は昨季12球団投手のストレート空振り率20傑(対象は直球を300球以上)。楽天松井の15・7%をトップに、守護神や助っ人リリーバーが名を連ねる。ソフトバンク千賀も11・2%で17位に登場。シーズン1000球以上を投げて10%以上はDeNA今永(10・2%)との2人だけで、傑出度が分かる。

 今春の尾形を当てはめると、広島フランスアの13・5%に次ぐ11位相当。阪神(現パドレス)ジョンソンの12・6%や、同じ阪神で復活した元祖「火の玉」藤川の12・2%より上。球界でも屈指の輝きを秘めたストレートといえそうだ。

 平均球速147・1キロは、150キロが珍しくない現在、突出してはいない。【表3】は球速に対するストレート空振り率の球界平均グラフ(2014~19年)だ。尾形は平均ラインから大きく上に外れており、同じ球速帯の投手(8%ほど)と比べ5ポイントも高い。同様の傾向は昨季21試合連続無失点をマークした中日藤嶋(平均球速141・8キロ、空振り率14・1%)にも認められる。尾形の投球にも、打者の感覚にズレを生じさせる特異性があるようだ。

 今後いかに1軍に食い込み、シーズンを戦い抜くか。越えるべき壁は多いが、楽しみな存在だ。

 ◆DELTA(デルタ) プロ野球データ分析会社。米国流のデータ分析手法「セイバーメトリクス」を得意とする。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)などを通じ球界への提言も。データを集計し算出した守備指標「UZR」や総合評価指標「WAR」などのスタッツや、アナリストによる分析記事を公開するウェブサイト「1.02 Essence of Baseball」(https://1point02.jp/)も運営。福岡・天神にデータ入力室を構える。

PR

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング

PR

注目のテーマ