イチロー氏の言葉で分かった「盲点」五輪バスケ日本初のメダル狙うコーチに聞く3

西日本スポーツ 西口 憲一

 東京五輪に開催国枠で出場するバスケットボールの女子日本代表は、男女通じて日本のバスケ界初の「五輪メダル」に手が届く位置にいる。世界ランキング1位の米国を除けば実力は伯仲。出場を義務づけられていた2月の五輪予選(ベルギー)では、敗れたとはいえ、ランク上位のカナダやベルギーと接戦を演じた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月中の代表活動は中止となったが、1年延期となった来夏の本番で世界を驚かせる可能性を秘めている。代表でアシスタントコーチを務める恩塚亨氏(40)=東京医療保健大監督=に女子バスケの現在地を語ってもらった。(聞き手・構成=西口憲一)

(2から続く)

 -女子日本代表と東京医療保健大。注ぐ情熱に差は。

 その点は変わらない。違うのはヘッドコーチ(監督)とアシスタントコーチという立場だけ。無責任というわけではなく、役割が違う。大学だと(学生を)引っ張り上げないといけない。代表では「いかに選手を気持ちよくプレーさせるか」を心掛けている。選手がいかに力を発揮できるようにするか、という目的は同じ。リーダーシップの部分とアシストの違い。選手の話を聞いて、いかに選手が熱い気持ちでコートに立てるか。それを自分発信で引っ張っていくのか、相手発信で引き出していくのか。私の仕事の本質は「喜んでもらうこと」。自分の人生の座標軸でもある。報酬イコールみんなで成長してつかみ取った勝利の喜びを分かち合えること。

 -日本代表と学生の「違い」を知る意味は。

 これは大きい。誰だってなりたい姿がある。その、なりたい姿はどこにあるのか。最近の私の中のテーマは「自己分析」。それが分からないうちは(指導者として)成功しないと思っている。例えば東京駅に行きたいと思っている人がいて、アドバイスをするときに「今、どこにいるの?」と尋ねる。そこで「五反田」とか「渋谷」とか返ってくる。場所が分からないとアドバイスのしようがない。その上で移動手段の話になる。「お金はあるの?」「車はあるの?」「電車が近いよ」という話になる。つまり、自分で自分の「現在地」が分かっていないと「目標」にたどり着けない。自分の居場所が分からないから、進んでいるのか、近づいているのかも分からない。少しでも近づいている、成長している手応えがあれば、それをモチベーションにしてもっと近づける。次のエネルギーになる。

 -ヒントになったことがあるのか。

 イチローさんの言葉。「自分」を見つけることの大切さを、イチローさんが本で書かれていた。昨日の自分を超えられている手応えが自信になる、と。昨年の夏ぐらいだったか、そこでふと考えた。昨日の自分が分かっていないと、超えたかどうか分からない。そこが私の盲点だった。自分を見つけていないと駄目。私自身もそうだし、チームもそう。「このチームに勝ちたい!」だけでなく、まずは「自分のチームを知る」。大学も代表も同じ。そのために今何をするべきか。感情も大切だし、否定はしない。でも、本当に必要なのは裏付け。そこは日本人に足りない部分だと、私は考える。日本だと「何となく」が通じるけれど、海外では通じない。そこに甘んじてはいけない。

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