「大会あれば幸運と考えよう」最後の夏を控える球児の今 進路どう決めたら…戸惑いと不安

西日本スポーツ 前田 泰子

 新型コロナウイルス感染拡大で緊急事態宣言が全国に拡大され、夏の大会を目指す高校野球も大きな影響を受けている。18日に佐賀県内の高校同士で練習試合が行われたが、週が明ける20日からは休校、練習自粛で九州・沖縄のほぼ全校で活動がストップする。同地区の夏の県大会は沖縄が最も早く6月20日に開幕予定。日本高校野球連盟(高野連)は5月20日の運営委員会で第102回全国高校野球選手権(8月10日開幕・甲子園)について審議するが、開催できるかは不透明なままだ。各県の現状を追った。

■あすから再休校へ

 18日、佐賀市内の佐賀商グラウンドでは佐賀商と佐賀工、嬉野による練習試合が行われていた。元気な声が響き選手の顔には笑顔が浮かぶ。ネット裏で観戦する保護者や関係者にマスク姿が目立つ以外は、平常時と変わらない光景だった。「練習試合も今週まで。来週からまた休校になるので練習も休止です」。緊急事態宣言の全国への拡大で21日からの再休校が決定し、佐賀商の森田剛史監督は厳しい表情を見せた。

 佐賀市内では新学期から休校が解かれ、各校の野球部は2時間の制限付きながら練習を実施。週末の練習試合も県内のチーム同士に限り許可された。3月2日からの休校措置で休止していた佐賀商は同25日に練習を再開。練習試合は10試合以上を行った。「試合ができたのはありがたかった。選手も野球ができる喜びを感じているのか、笑顔が多い」。感染防止策を講じた上で汗を流す姿に、森田監督は例年とは違う選手の雰囲気を感じていた。

 現時点での目標はもちろん夏の大会。もっとも、開催可否の先行きは見えないままだ。森田監督は「つらい言葉ですが、生徒には『夏の大会は行われれば幸運と考えよう。もし大会があれば今までの思いを爆発させよう』と話をしました」と明かした。山下祐弥主将(3年)は「夏の大会があるか不安はあるけど、目の前のことをやるしかない。一日一日を大切にしたい」と高校野球のラストイヤーに向き合う。

 4月7日に緊急事態宣言が発令された福岡県では多くの学校が休校になり、一部の学校で行われていた練習も休止された。昨年は春夏の甲子園に出場した筑陽学園も寮生を全員自宅へ帰した。「練習も学校もどうなるか、先が全く見えない」と江口祐司監督。同県では2月20日に福岡市で最初の感染者が判明してから約2カ月で500人を突破するなど増加のペースが加速しており、関係者からは「野球どころではない」という声も聞こえてくる。

 鹿児島県の強豪、鹿児島実では県外から入学した新入生を2週間、練習に参加させないなどの感染防止策を取ってきた。4月20日から休校となり、寮生に限り自主練習という形を取る。「選手のために何かしてあげたいが動けば(感染などの)リスクが増す。今は何もできない」と宮下正一監督はもどかしさを口にする。

 夏の地方大会は沖縄を皮切りに6月から7月にかけて開幕。甲子園での選手権大会は8月10日に開幕予定だが、実施については現場でも厳しい見方が増えているのは事実だ。鹿児島実の宮下監督は「もし夏にできないなら、時期を延ばしてでも大会をさせてあげられないか」と提案。別の指導者からは「3年生が春休みまで出場できるようにしてあげられないか」という意見も聞かれた。

 仮に夏の大会がなくなれば、3年生はほぼ試合ができないまま引退する。佐賀商の森田監督は「甲子園ももちろんだが、選手の進学や就職が気がかり。試合がない中でどう進路を決めたらいいのか」と戸惑いをのぞかせる。誰もが初めて直面する事態。選手も指導者も不安に包まれたまま夏へ向かっていく。 (前田泰子)

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