【Fの推し増し】向かい風がどれほど冷たくとも HKT新曲デイリー1位

西日本新聞 古川 泰裕

 HKT48の約1年ぶりとなる新曲「3-2(さんひくに)」が22日にリリースされ、15万6884枚の売り上げで21日付オリコンデイリーチャートで1位に輝いた。新型コロナウイルスの感染拡大により、これまで通りのプロモーションどころか、メンバーが集まることすらできない状況。それでも、SNSでの動画配信などを中心に、できることをフル稼働して新曲をアピールした。

 発売日当日の午前。記者の部屋の呼び鈴が鳴った。届け物の中身は「3-2」のCDと、メンバーの直筆サイン入り色紙。プロモーションのため「SHOWROOM」でメンバーが生放送中、いてもたってもいられなくなって予約購入したCDと、その特典だった。「3-2」の表題曲を歌うメンバーがプリントされた「色紙」は厚紙製で、どちらかといえばカードのような感触だ。折れ曲がったりしないよう段ボールとともに丁寧に封入されており、余白にはメンバーの元気な文字が、躍動感たっぷりに踊っていた。ツイッターでは「3-2」というタイトルにちなみ、同日の午後3時2分に「#さんひくに」とツイートして発売を祝う企画が、グループの発案でスタート。メンバーはミュージックビデオの撮影中のオフショットを、ファンは購入したCDの写真などを添えながらツイートした。

 指原莉乃卒業後初となるシングルの表題曲は、男女3人の三角関係から「孤独」を描く。切なくも疾走感のあるナンバーは、「元気で明るい」ものが多かったこれまでのHKTとは一線を画す。センターには繊細ではかなげな、それでいて芯の強さを感じさせる北海道出身の4期生・運上弘菜(21)を選んだ。

 新境地開拓に挑んだ意欲作であることは明らかだったが、新型コロナウイルスによる被害が拡大するにつれて劇場公演など通常の活動すら満足にできなくなり、4月上旬の緊急事態宣言後はメンバーが事務所へ来ることさえ許されなくなった。

 そんな中で企画されたのが、動画配信サービス「SHOWROOM」でのリレー配信だった。「3-2」の表題曲を歌う選抜メンバーが10~12日に、ビジュアル系ユニット「Chou」とダンスユニット「Lit charm」のメンバーが18~20日に、それぞれ20分ずつ自室から生放送。放送中にCDを予約購入可能なシステムを整え、予約したすべての視聴者にメンバーの直筆サイン入り色紙が届くようにした。放送中、視聴者からのコメントが表示されるタイムラインには購入の報告があふれかえり、メンバーのお礼も到底追いつかない事態に。田中美久がサインする色紙は650枚を超えたという。

 放送中に使用する台本やCD、色紙は、マネジャーの手によってメンバーのもとに届けられた。森保まどかは21日の夜11時すぎにツイッターを更新し「こんな時間までメンバーの家一軒一軒をまわって、配信で使う台本やサイン色紙を届けてくれるマネジャーさん…」とスタッフの尽力について触れ、「なるべく接触しないよう宅配ボックスなどを活用しながら。温かいですよね」と、感謝をつづった。

 HKTのある運営幹部はリレー配信について「メンバーが集まれないので、皆で話してこの企画にした」と経緯を明かす。運営会社が変わり、劇場支配人の尾崎充氏も退任した。新曲とともに華々しく飾るはずだったグループの新たな門出は、メンバーにも「大人」たちにもどうしようもできない力により、想定通りとはいかなかったのかもしれない。だが、それでも全てを奪われるわけではない。積み重ねてきた8年間がある。結び続けてきた絆がある。ファンを少しでも楽しませるためにスタッフとメンバーが力を尽くし、ファンがそれに応えていくという「三位一体」が続く限り、掲げた旗が折れることはないだろう。

 「風の冷たいこの道、歩いて行こう」(「青春の出口」より)

 向かい風がどれほど冷たくとも-。52人の新たな旅が始まった。(古川泰裕)

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