深刻なJクラブの財務 過去に大分、福岡、鳥栖が経営危機に直面

西日本スポーツ 松田 達也

【記者コラム】

 わずか2カ月前だった。2月22日、J1開幕戦の川崎-鳥栖戦の取材で等々力陸上競技場を訪れた。スタジアム周辺の屋台のにぎわい、2万人を超えた観客が集まったスタンド。現在ではいずれも避けるべきだとされる密集状態にあたるが、待ちわびた“日常”が戻ってきたサポーターの顔は希望に満ちていた。

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、その日常を取り戻そうと、Jリーグは苦闘を続けている。その開幕戦から3日後の2月25日、他のスポーツ団体に先駆け、公式戦の延期を決めた。以降、再開に向けての協議が続く。

 深刻なのは、試合が開催されないことによる各クラブの財務状況だ。九州のクラブは、これまでも経営危機に直面してきた。大分は2009年、福岡も13年に資金繰りが悪化し、苦しい経営が表面化。鳥栖は前身の鳥栖フューチャーズが解散に追い込まれ、現在も厳しい状況が続く。

 各クラブとも経営の危機を乗り越えてきたが、先の見通しが立たない今回の状況は厳しい。Jリーグは密集を避けるため、観客の大幅減での開催を想定。無観客試合も検討されており、既に販売した年間指定席などの収益を手放さなくてはいけない恐れもある。

 一部では、チケット購入者が試合が開催されずに観戦できなくとも、料金の払い戻しを求めないことで、クラブへの“寄付”とする意向を示すケースもあるという。手法の是非はともかく、クラブへの愛情を伝える一つの手段だろう。そうした姿勢に対し、政府が税控除などで負担を軽減する動きも出てきた。

 ただ、一つのクラブだけの取り組みやサポーターの愛情だけでは、今回の難局を乗り越えるのは厳しい。経営的な苦境を乗り越えた“実績”がある九州のクラブは、これまでもダービーなどに全クラブのマスコットを集結させるなど手を取り合って集客に励んできた。

 ドイツでは「サッカーのある週末は、サッカーのない週末よりはるかに耐えられる」という言葉とともに5月中のリーグ戦再開の動きが加速している。新型コロナの感染拡大が止まったとしても、応援すべきクラブがなくなればサポーターの日常は戻ってこない。九州の各クラブのより一層の連携を期待したい。 (松田達也)

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