ラグビー7人制女子主将・中村知春が語る東京メダル獲得への覚悟 「トラウマ」リオが出発点

西日本スポーツ 末継 智章

 ラグビー7人制女子日本代表の中村知春主将(32)が本紙の電話インタビューに応じ、1年延期となった東京五輪でのメダル獲得への覚悟を明かした。日本女子ラグビーの存在価値を高めようと、昨年12月に発足した7人制女子チーム「ナナイロプリズム福岡」(福岡県久留米市)ではゼネラルマネジャーも務める先駆者は、2016年リオデジャネイロ五輪での惨敗で抱くようになった使命感を胸に突っ走る。 (聞き手・構成=末継智章)

 -新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京五輪が延期になった。

 「延期は仕方ない。マラソンで残り1キロのところで20キロ追加された感じ。まじかと思ったが、(7人制女子で)日本が世界のトップを走っていたわけではない。この1年で挽回できると思えばネガティブではない」

 -日本代表での選手活動に加えて、五輪が迫るタイミングで発足したナナイロプリズム福岡ではゼネラルマネジャー(GM)の重責もこなす。

 「選手は引退したら忘れられてしまう。このタイミングで注目されることにチームとして一つの価値があると思った。リスクがあるとは言われるが、軌道に乗せるのが私の使命」

 -年間約300日あった代表活動は停止中だ。

 「リモートワークで会社(電通東日本)の仕事をしている。なまった体に効くトレーニングの動画を社内で共有したり、個人的には自宅周辺で体を鍛えたり。ナナイロのメンバーと週2回、オンラインでフィジカルトレーニングもしている。室内で静かにできるメニューはある」

 -女子ラグビー界の発展が目標の一つだ。

 「ナナイロ(の発展)も、東京五輪でメダルを取りたいのも女子ラグビーの価値を上げるための手段。五輪で結果を残すだけでは3、4年で忘れられてしまう。(五輪後も)形として残るものが必要だと思った」

 -4年前のリオデジャネイロ五輪でも金メダルを目標に掲げた。

 「当時は自分の中で五輪の価値が分からず、『なぜメダルを取りたいか』という問いに答えられなかった。ふたを開ければ(12チーム中10位で)弱いじゃん、と水をかけられた感じでトラウマになった。リオ後に五輪について勉強し、日本オリンピック委員会(JOC)のアスリート委員もさせてもらい、『メダルを取るのは女子ラグビーの価値を上げるため』と目的を語れるようになった」

 -男子はリオ五輪で4位。学ぶところも多い。

 「五輪の後にコーチングを学ぶため、男子日本代表に同行することがあった。男子の皆さんはいい意味で自立し、練習とそうでない時間のメリハリが成熟している。私が主将の女子は学生中心のチーム。若い彼女たちが引っ張る機会も多くなっている。私はリーダーシップだけでなく、物事がスムーズに進むためのフォロワーシップも大切だと学んだ」

 -リオ五輪で男子主将だった桑水流裕策(コカ・コーラ)がナナイロプリズム福岡のヘッドコーチ(HC)を務める。

 「チーム第一を体現できる方。世界で通用するチームを目指したいので、世界での経験を落とし込んでいただければ。現役選手なのでオンラインのトレーニングも一緒にやっていただける。今はビジョンの共有を進めている」

 -12年から女子日本代表の主将を続けるが、大学まではバスケットボールをしていた。

 「小学生のときから12年間。ポイントガード(PG)だったけど、シュートが苦手だし、いつも5ファウルで退場していた。身長や実力を考えると卒業後もバスケでご飯を食べられるわけではないと思ったが、コンタクトスポーツはしたくて。五輪の実施種目になったラグビー7人制は徐々に注目されていたので、挑戦してみた」

 -感じた魅力は。

 「広い視野を使ったり空いているスペースに人を入れたりする感覚はPGと似ているけど、自分より後ろのスペースを考えるのが新鮮で。先の事態を予測して動く感覚も面白い」

 -代表強化の手段として、一時は身体能力の高い他競技からの転向選手を多く代表に受け入れていた。

 「私が(代表で)始めた当初は何とかついていけた(レベルだった)が、今はよほど足が速いとか空中戦に強いという特長がないと難しい。その点、(ラグビーが盛んな)九州出身の女子は子どもの頃から兄や親を通じてラグビーに触れる環境があり、うまい子が多い」

 -ナナイロプリズム福岡のGMとして1月に福岡県久留米市でトライアウトを行った。

 「多くの方に手伝っていただき、人のつながり、温かさを感じられる土地だと思った。私は今、五輪に向けて埼玉に拠点を置いているけど、五輪後は久留米に拠点を移す。50年続くチームをつくりたいので、焦らずに安定した運営ができるようにしたい」

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