急きょ訪れた取材のチャンス 山中慎介を破った新王者は笑わなかった

西日本スポーツ 大月 崇綱

 2017年8月15日、京都市の島津アリーナ京都は、地元のチャンピオンが偉業を達成する瞬間を見ようと、満員の観衆ですさまじい熱気が漂っていた。

 世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級王者だった山中慎介は、この試合を防衛すれば、具志堅用高氏の持つ世界王座連続防衛の日本記録13度に並ぶ注目の一戦だった。記者はこの日取材をする予定だった全国高校野球大会が雨天中止になり、急きょ取材するチャンスが訪れた。

 試合は、序盤こそ山中が流れをつかんだかに見えたが、徐々に劣勢に転じる展開。そして4ラウンド、挑戦者の猛攻に防戦一方となった王者に陣営が試合のストップをかけた。予想外の結果に会場が静まり返り、異様な雰囲気になったのを今でも覚えている。

 当時撮影した写真を久しぶりに見返した。“金星”を挙げた挑戦者のルイス・ネリ(メキシコ)は、勝利の瞬間こそコーナーに上り喜びを見せていたものの以降、笑顔はほとんど見られなかった。その後発覚する、ネリの禁止薬物使用疑惑を暗示するようだった。 (大月崇綱)


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 西スポカメラマンが撮った決定的瞬間や記憶に残るシーンを集めた企画「お宝写真館」。取材時の思い出やエピソード、裏話などを随時、紹介します。

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