ソフトバンク千賀のキャッチボール動画に即座に反応した剛球右腕

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

 福岡ソフトバンクの千賀滉大投手(27)が、新型コロナウイルス感染拡大の影響でいまだに見通せない開幕にフルモデルチェンジして臨むことを明かした。3日、自主練習中のペイペイドームでオンライン取材に対応。2月のキャンプ中に右前腕部違和感を訴え1カ月以上ノースローを続けていたが、今は90メートルの距離で遠投をしているという。予期せぬ形で回復の時間を与えられた右腕は、ゼロベースから自身を見つめ直し“別人”となって開幕を迎えるつもりだ。

■ブルペン間近

 転んでもただでは起き上がらない。初めてのリモート取材で、千賀は言った。「個人練習が始まって、見つめ直すものがあった。今までの千賀とは変わったぞ、違うぞと思われるような期間にしたい」。コロナ禍によってもたらされた時間で出遅れを取り返すどころか、一から新たなモデルを築き上げるために腐心している。

 昨季まで2年連続で開幕投手を務めた右腕は、春季キャンプでは右ふくらはぎの張りや右前腕部の違和感で打者に登板できず、2月23日から1カ月以上ノースロー調整を強いられた。当初開幕が予定されていた3月20日には、マウンドに立てる状態ではなかった。

 3月末にキャッチボールを再開。今では90メートルの距離を投げブルペン投球も可能な状態までコンディションは上がっているという。5月6日が期限の緊急事態宣言も延長される見通しでプロ野球の開幕日はいまだ不透明。それでも「(最初の開幕日に)間に合わなかった人間として、正直、難しい感情ですけど…。そこ(開幕)の週に合わせられるように、準備したい」と戦力として来る日を迎えるイメージを思い描く。

 ただ、自主練習期間は球団トレーナーの参加も制限されており「自分で(投げる)間隔を空けたり、調整したりしながら」メニューの強度を抑えている部分もある。強化できる範囲が限られている中で、鍛えているのは脳内だ。師と仰ぐダルビッシュ(カブス)や則本昂(楽天)をはじめ、自主トレをともにした選手らと野球に対する議論を深め、一度、固定概念を一掃することを決めた。

 「これまでの肉付けではない。今までのものは一切捨てている。今までがA千賀なら、これからはB千賀を出せるように」

 4年連続で2桁勝利を挙げ、昨季は歴代最高の奪三振率11・33で初めて奪三振のタイトルを獲得しながら、そのスタイルに固執するつもりはない。今年4月に始めたインスタグラムでも、従来とは違うフォームでのキャッチボール動画を投稿した。それにいち早く反応したのが昨年のリーグ最優秀防御率右腕、山本(オリックス)だったという。

 「『千賀さんフォームで何を意識していますか』って、いきなり(連絡が)来て。やっぱり、意識を高く、考えて生活しているからこそ、そういうことを思うんだなと、あらためて感じた」。現状に甘んじることなく、常に高い感度を持ち合わせる年下の剛腕の姿勢に共感した。

 新しいモデルを披露するのも、まずは野球ができる環境が整ってこそ。「みんなで助け合うことが一番。僕らより困っている人たちは確実にいる。なんとか乗り越えて、僕らが野球をしている姿を元気に見に来てもらえるように」。自己研さんを続ける右腕は、ステイホーム中も先を見据えて生まれ変わる。 (鎌田真一郎)

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