国内リーグで打っても選ばれるとは限らない ソフト代表もう一つの選考基準

西日本スポーツ

 東京五輪ソフトボール女子日本代表の宇津木麗華監督は、北京五輪以来となる金メダル獲得の期待を担う中で令和を迎えた。

 生まれ故郷の中国から昭和に来日。選手や指導者として平成を駆けた。一度は五輪から除外された期間の苦しさを知るからこそ、選手には日本代表として五輪で戦う意味や価値を問い続ける。「競技人生の集大成」と言い切る東京五輪への道のり。その思いを語った。

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 日本リーグで好成績を残しても、それだけでは五輪代表の選考において有利には働かない。米国をはじめ海外勢に勝てるかどうかが焦点だけに、打者なら外国人投手との相性が物差しになる。女子の代表合宿に男子の日本代表や大学生の投手を招いて打ち込ませるのも、身長が海外の女子ナショナルチームの投手並みに高く、球が速くて球質も重いため、「仮想海外勢」としてうってつけだからだ。

 身長が低い日本の投手に慣れると、国際大会で長身の外国人投手と対戦した際、リリースポイントの「高低」の違いに戸惑い、打ちあぐねることが多い。米国の二枚看板、キャット・オスターマン(身長188センチ)やモニカ・アボット(同189センチ)のようにスピードがあって多彩な変化球を操る投手対策は、1年延期となった東京五輪に向けての課題の一つでもある。

 昨年の世界選手権で準優勝した男子日本代表の次世代エースとして期待されている小山玲央投手(長崎・佐世保西高-日体大4年)は、女子の代表合宿で力を貸してもらっている右腕の一人。179センチ、87キロのがっちりした体から投げ込む真っすぐは最速135キロと聞く。国内ではおそらくトップで世界でも指折りだろう。米国以外にもカナダやメキシコが手ごわい右腕を擁していることを考えると、彼の存在はありがたい。

 フォームもダイナミックでリズミカル。タカが翼を広げて空をゆったりと飛んでいるような柔らかさがある。ライズボールをはじめ変化球の精度も高い。男子投手特有のジャンピングスローで真剣に投げられたら、打てない。力を7~8割にセーブしてもらうと、女子の代表にとっては最適な練習になる。格好をつけたり飾ったりせず、受け答えを含めて己を持っている。代表での背番号は、女子の上野由岐子(ビックカメラ高崎)と同じ17番。偶然空いていたらしいけれど、縁や運も大切。自分でつけたいと願っていても順番で回ってくるものではない。

 ライズ系やドロップ系など海外勢の特徴に近い男子投手の球を打つことで自信になる。私がそうだった。初めて日の丸を背負って五輪に出場した2000年のシドニー大会。宇津木妙子さんが指揮を執り、私は中軸を任された。大会前から男子投手のサポートで打撃練習を重ね、110キロ前後の快速球に目を慣らしてきたことは、予選リーグで当時112連勝中だった優勝候補大本命の米国を2-1で倒す原動力にもなった。

 予選リーグを7戦全勝の1位で終え、日本代表は周囲から「神様がついている」とも呼ばれた。翌日にオーストラリアとの準決勝を控えた9月24日は試合がなかった。私はチームに同行していた男子の元日本代表右腕、大村明久さんにお願いして、打撃練習に付き合ってもらった。初の金メダルを手にするには決勝で雌雄を決するであろう米国の大エース、リサ・フェルナンデスを絶対に打たなければいけなかったからだ。

(ソフトボール女子日本代表監督)

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 宇津木 麗華(うつぎ・れいか)1963年6月1日生まれ。中国・北京市出身。元中国代表。88年来日、95年日本国籍取得。現役時代は内野手で日本代表の主砲、主将として活躍し、シドニー五輪銀メダル、アテネ五輪銅メダル。2003年に日立&ルネサス高崎(現ビックカメラ高崎)の選手兼任監督就任。04年に現役引退後は11年から15年まで代表監督を務め、12、14年の世界選手権優勝。16年11月、再び代表監督就任。群馬女子短大を聴講生として卒業。右投げ左打ち。

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