重度の貧血乗り越え五輪へ 陸上ホープ広中、監督が「苦労した」練習中の姿

西日本スポーツ 末継 智章

 1年の延期が決まった東京五輪。陸上女子長距離の代表入りが期待される成長株が、長崎県大村市出身の広中璃梨佳(日本郵政グループ)だ。入社1年目の昨年は5000メートルで東京五輪の参加標準記録(15分10秒00)を突破するなどトップランナーの仲間入りを果たした。駅伝、トラックで成長著しい19歳。来夏までにさらなる飛躍が期待される。

   ◇    ◇

 日本郵政グループの高橋昌彦監督は広中の強みについて、強い練習意欲だと説明する。「こちらが24時間陸上にささげなくてもいいと言っても、常に真剣に取り組む。自分で追い込める」と評価する。

 広中は元々重度の貧血に苦しんだ。赤血球の数値を平常値に戻すため中学2年の秋から約半年間治療に専念したほどだ。その経験もあって走ることへの渇望は強く、長崎商高に入ってからは毎朝練習後に短距離ダッシュをするのを日課にしている。

 昨年、広中の指導を担当した日本郵政の早瀬浩二コーチは「すごく真面目な子で、週1回の休息日も走ろうとする。いかに休ませてあげられるかが逆に苦労した」と振り返る。表情や走り方を観察し疲労がたまっていると判断した日は散歩程度にとどめさせてきた。

 指導陣の思いに応えるように、自らコントロールできる力も付いてきた。1月の都道府県対抗女子駅伝。女子5000メートルのU20日本新記録を出した記録会から約1カ月しかなく、疲労や脚の張りを抱えていた。するとトラックで最終調整を行う予定だったレース前日、自主的に軽めのジョギングにとどめたという。調整は功を奏し、同駅伝では1区(6キロ)で17年ぶりの区間新記録樹立につながった。

 伸びしろの大きさも魅力の一つだ。「まだ左足に体重が乗りにくいなど、フォームのバランスを修正できる。練習量もまだまだ少ない」と高橋監督。「現時点でも1万メートルで日本記録(30分48秒89)を更新できる力はあるが、勝負は4年後や8年後」と、じっくり育てる方針でさらなる飛躍を見据える。東京五輪は5000メートルで世界のスピードを体感し、次回のパリ五輪では1万メートルで勝負させる考えだ。 (末継智章)

PR

陸上 アクセスランキング

PR

注目のテーマ

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング