五輪代表権「維持」の決断が遅かった柔道 選手は不満、それでも慎重姿勢を崩さなかった理由

西日本スポーツ

 全日本柔道連盟(全柔連)は15日、オンラインで常務理事会と強化委員会を開き、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて1年延期となった東京五輪代表について再選考を行わない方針を固めた。書面による理事会の決議で正式決定する。全柔連は2月末までに男子73キロ級の大野将平(旭化成)、同81キロ級の永瀬貴規(同)=長崎日大高出身、女子57キロ級の芳田司(コマツ)=福岡・敬愛高出身、同78キロ級の浜田尚里(自衛隊)=鹿児島南高出身、同78キロ超級の素根輝(環太平洋大)=福岡・南筑高出身=ら男女13階級の代表を発表。その後に五輪の延期が決まり、処遇を検討していた。代表が決まっていない男子66キロ級については未定。

  東京五輪の延期決定後、他の競技団体は早々に代表に決めた選手の権利維持を表明した。一方で全柔連は慎重な姿勢を崩さなかった。再選考案の浮上や決定の遅れで選手からも不満の声が上がったが、“お家芸”だからこその熟考だったと言えるだろう。金メダルという結果が求められるがゆえ、透明性や決定プロセスを重視。金野潤強化委員長は「2番手、若手の選手の角度からも考える必要はある。十分に議論ができたということはメリット」と強調した。

 1年間で選手の実力が逆転したり、若手が急成長したりした事例はこれまでの五輪で数多くある。ただ、今回は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて五輪が1年延期するという未曽有の事態。本格的な練習再開や国内外の大会開催が見通せない現状で決めた代表維持を中里専務理事は「メダルへの近道」とした。

 東京五輪の代表選考は初めて「3段階方式」を採用。これまでは4月の最終選考会後に発表していた代表を今回は2月末までに13階級を決めた。十分な準備期間を与えるための強化策だったが、延期によって選手たちは1年を超える長い時間を「東京五輪代表」として過ごすことになった。今後は選手の心身の状態や緊張感の維持が課題となるだろう。

 「選手もわれわれも経験のないところに入る。選手と密に連携を取ってやっていきたい」と金野委員長は気を引き締めた。女子78キロ超級の素根は内定1号を勝ち取った昨年11月のグランドスラム大阪が最後の実戦機会となっている。試合をこなしていくことで養える体力、試合勘をどう取り戻すのか。向き合うべき課題は多い。(伊藤瀬里加)

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