ソフトバンク上林いきなり3安打 緊急事態でも好調キープした「心の支え」

西日本スポーツ 倉成 孝史

 ◆練習試合 オリックス1-2ソフトバンク(2日、京セラドーム大阪)

 球音が戻った-。19日のレギュラーシーズン開幕に向けてプロ野球の練習試合が2日、各地でスタート。セ・パ12球団が計6試合の熱戦を全国のファンに届けた。3月22日、本拠地での練習試合ロッテ戦以来、72日ぶりの対外試合となったソフトバンクは無観客の京セラドーム大阪でオリックスと対戦。8回に上林誠知外野手(24)がこの日3安打目となる勝ち越しの適時打を放ち、チームを勝利に導いた。マスク姿の首脳陣と選手は「新しい様式」で喜びを共有。新型コロナウイルス対策を徹底しつつも、日本のプロスポーツの先陣を切ってプロ野球が大きな一歩を刻んだ。

 静まりかえった球場内に、乾いた打球音が響く。ファンの歓声はなくても、ベンチから歓喜の声がこぼれる。派手なパフォーマンスはなくても、笑顔に喜びと手応えがにじむ。球音がスタンドに戻ってきた。

 真剣勝負の楽しさが伝わる。互いに無得点で迎えた4回1死一塁。上林が村西の投じた外角直球を捉え、左中間を切り裂いた。一走の松田宣を生還させる先制打。果敢に三塁を狙い憤死したが、アグレッシブな走塁にグラウンドで暴れられる喜びがあふれていた。

 「最初の対外試合で、いい結果になってよかった」。待ち望んだ対外試合の再開。人一倍その思いは強い。12球団が各地で練習試合を再開し、ホークスも72日ぶりの対外試合。昨季はふがいない成績に終わりレギュラー再奪取に燃える男にとって、待ちに待ったアピールの場だ。7回に左前打を放ち、同点の8回にも勝ち越しの中前適時打と二盗。再開初戦で3安打2打点1盗塁と躍動した。

 異例の事態が続く中で悔しさが背中を押す。昨季は、右手薬指を剥離骨折した影響もあって出場99試合で打率1割9分4厘。「去年は勝負にならなかった。(今年は)手が痛くないのが心の支え。集中できています」。3月のオープン戦4試合でも12打数8安打と暴れたが、5月末の紅白戦でも5試合で打率3割5分超と、いい状態を維持している。「ライトは上林というイメージを植え付けられるようにするだけ」。4年連続となる開幕スタメンに名を連ね、そのまま定位置を再奪取する覚悟だ。

 上林だけでなく、球界全体にとって「6・19」への大きな一歩となった一戦で、異例のシーンが連続した。試合前練習は選手同士の接触や会話を避けるため、オリックス勢が完全に引き揚げた後にホークスナインがグラウンドに登場。ウオーミングアップを2、3メートルのソーシャルディスタンスを保って実施した。換気のため左翼側、右翼側のフェンスの一部は開放。京セラドームに隣接する道路を走る車が、フリー打撃を行う選手らの目に映った。

 試合中も工藤監督を含めて首脳陣、スタッフは全員マスクを着用した。選手が密集しないようにカメラマン席にも椅子を置きベンチを拡充。試合後も、報道陣数人だけでの代表取材となった。それでも指揮官は「みなさんの前で話ができてよかったです。本当に久しぶりなので。今までは(オンライン取材の)カメラを通してしか見られなかった」と、開幕へ向けて一歩進んだことを喜んだ。どれだけ不便を強いられても、3カ月遅れのシーズンを無事に進行できるように-。ファンの歓声と日常がスタンドに戻るまで。野球に関わる全ての人が思いを一つに前へ進んでいく。 (倉成孝史)

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