初回の攻撃に隠された2020年ソフトバンクの戦い方

西日本スポーツ 石田 泰隆

 ◆タカ番記者コラム「好球筆打」

 この2人には球場の広さなど関係ないのだろう。柳田とバレンティンだ。試合前の打撃練習でのこと。並んでフリー打撃を行っていた左右の大砲はともに軽々と、競い合うように白球をスタンドまで運んでいた。

 これが狭い本拠地ペイペイドームなら何ら驚くことではないが、本塁打が出にくい球場として野球ファンに認知される甲子園でスタンドインを連発するのだから、見ているだけのこちらも何だかスカッとした。

 ともに日本球界を代表する「飛ばし屋」とはいえ、打撃投手のゆったりとした球だ。完璧に捉えても、試合のように飛距離を出すことは容易ではない。しかも、甲子園は屋外で風といった“障害”があるにもかかわらず、まったく影響を感じさせない弾道を誇る。敵に回したくない打者だ。

 そんな2人はこの日も3番に柳田、4番にバレンティンと打線の中核に名を連ねた。これで2日からの練習試合は5試合全てで同じ並びだ。他の打順はまだ手を替え、品を替えと試行錯誤を繰り返すが、3、4番だけは大きな故障でもない限り、この形で開幕を迎えることになるだろう。昨季、主に4番を任されたデスパイネは開幕不在の見通しだけに、恐らくそうなる。

 そこで先月29日、オンライン取材に応じた王会長の言葉を思い出した。「毎年、同じメンバーで(戦える)とはいかない。昨年と同じ戦いでいいということも絶対にない。2020年型の戦い方をどうするか考えていかないとね」。王会長が指摘した20年型の戦い。それが初回の攻撃に隠されていたように感じた。

 5番松田宣の左前打で2点を先制した前段の流れだ。1死一、三塁から4番バレンティンが選んだ四球は、今年のホークス打線の強みとなる可能性を秘めてはいないだろうか。もちろん、最大の魅力は一発長打の怪力だが、日本球界9年の通算出塁率3割7分8厘は「隠れた武器」といえる。

 ましてや通算出塁率が4割2分2厘と化け物級の数字を誇る柳田と並べば、昨年まではあまり見られなかった畳み掛ける攻撃が見られるかもしれない。バレンティンがこの日選んだ四球はたまたまだったかもしれないが、強引に打ちにいかなかった姿は今後に期待が持てるし、何より数字は正直だ。3番柳田、4番バレンティンの並びは脅威でしかない。そしてこれまで以上に、5番打者には勝負強さが求められるだろう。(石田泰隆)

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