ラグビーW杯で日本の快進撃支えた「分析官」 下部リーグから新たな挑戦

西日本スポーツ 末継 智章

 昨秋のラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会で日本代表の快進撃を支えた裏方が、トップチャレンジリーグ(TCL)の九州電力に入団する。日本代表分析班の一人だった戸田尊さん(36)=福岡市出身=で8日に就任が発表され、相手や自チームを分析するヘッドアナリストに就く。W杯で対戦相手の特徴を的確かつシンプルにデータで提示し、初のベスト8入りに貢献。貴重な経験を故郷に還元し、ラグビー熱を高める思いで帰ってきた。

■福大でプレー

 戸田さんは2017年から日本代表分析班の一人として、客観的なデータで相手の傾向を洗い出す緻密な作業で支えてきた。昨秋のW杯では、相手の弱点を突く攻撃プランを考え抜き「日本の頭脳」とされたトニー・ブラウン・コーチを主にサポートした。

 8強入りへのポイントだった優勝候補の一角、アイルランド戦前には、ボール保持率が高い傾向にあることに注目。キックを減らして相手にボールを持たせない戦術を勧めるなど、1次リーグ4戦全勝と日本初のベスト8進出に貢献した。

 もともとはラガーマンだ。主にフッカーで、福岡大ではリオデジャネイロ五輪7人制男子日本代表主将の桑水流裕策らとプレーし全国大学選手権にも出場。167センチと身長が低かったこともあり「どういう専門的な体力をつければ勝利につながるか考えていた」と分析にも興味があった。

 卒業後に母校の福岡工高や福岡大でコーチを務め、衛星利用測位システム(GPS)を使ったデータ分析に没頭。13年に知人の紹介でトップリーグ(TL)のNTTドコモの分析班に加わった。当時最先端の分析をしていたウェールズでの研修経験や、15年に引退した元日本代表主将の箕内拓郎(北九州市出身)がコーチに就いたことが自らの成長を促したと振り返る。

■海外研修経験

 2人で自チームのラインアウトを分析。うまくボールを取れない選手は跳ぶまでの助走の歩数が多く、最高到達点に達するタイミングが遅れている特徴を発見した。「箕内さんは常に『なぜ』という視点を持ち、細部にこだわっていて勉強になった」。17年に当時の南アフリカ出身のヘッドコーチ(HC)が日本代表のジェイミー・ジョセフHCに推薦し、代表の分析班入りを果たした。

 W杯後は在籍したNTTドコモに戻ったが、今年3月末で退団。「生まれ育った福岡に恩返しがしたい」と九州電力への移籍を決めた。

 世界の強豪と渡り合った日本代表とTCLの九州電力ではレベルも目標も異なる。「まずチームの文化を理解し、目指す姿に近づけるよう努力する。チームの成熟度に合わせながら、適切に処理できる量のデータを示したい」。対戦相手ごとに戦い方を変えた日本代表と同様、新天地に飛び込んだ戸田さんも新たなアプローチで、かつてはTLに所属したチームの再興に貢献するつもりだ。 (末継智章)

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