秋山幸二氏 ソフトバンク柳田は「三冠王ある」【開幕直前独占インタビュー】

西日本スポーツ

 プロ野球の開幕が19日に迫った。3年ぶりのリーグ優勝を目指すソフトバンク浮沈の鍵は昨年低調だった得点だ。打線の支えは10年目を迎えた柳田悠岐外野手(31)。練習試合12戦で打率3割8分2厘、6本塁打、9打点と仕上がりの良さを披露した主砲は令和初の三冠王になれるか。本紙評論家でソフトバンク前監督の秋山幸二氏(58)が前例のないシーズンで偉業を達成する可能性とポイントを解説する。

 開幕日の決定後、思った以上に対外試合の数を確保できなかったことで、どのチームも先発投手の調整が十分ではない。6連戦が続く日程で救援陣への負担がかかるのは明らかだ。厚い選手層を誇るソフトバンクの中でもストロングポイントは投手陣。特に救援が強みとはいえ、ブルペンの負担をいかに軽減するかは大事になる。昨年同様に課題は得点力。デスパイネグラシアルが現時点でいつ合流できるかというのは計算できない。開幕から打線を支えるのは柳田とバレンティンで、彼らにはやってもらわないと困る。

 そうした状況下で、柳田の仕上がりが際だっているのはスタートダッシュを目指すチームにとって非常に頼もしい。練習試合の姿からも体調の良さが伝わってきた。12試合で6発。完璧な当たりはもちろん、12日の広島戦のように泳がされながらあれだけ飛ばすのは驚異的だ。打率も残すだろう。毎年言っているが、三冠王の可能性は十分にあるし太鼓判を押したい。

 柳田にとって本塁打王争いでライバルになるのは西武の山川だ。彼の仕上がりも素晴らしい。練習試合を見ていても体が切れているのが伝わってくる。だから本塁打はしっかり回転して飛ばしている。山川は2018年が47本、昨年が43本で2年連続タイトルを獲得した。私が43本で本塁打王になった1987年は130試合制。当時はシーズン終盤の消化試合ではタイトルを争っている打者への勝負を避けた。今はクライマックスシリーズ(CS)があるから最後まで真剣勝負が続く。今年もパ・リーグはCS開催を決めた。そうなると、143試合から120試合に減っても40本あたりがタイトルの目安になるのではないか。

 120試合になるとこれまで以上にハイレベルな数字での争いになるのが打率だ。柳田の場合、警戒されて四球が多くなるだけに打数は増えず、1本の安打でより率は上がる。2015年に3割6分3厘、18年に3割5分2厘という高い数字をマークして首位打者になっているし、今年もこの部門のタイトルは近い位置にいるといえるだろう。

 自分自身でコントロールできない部分が大きいという意味でハードルが高いのは打点だ。チームにとっても柳田、バレンティンの前にいかに走者をためるかが、得点を増やす鍵。そのために工藤監督は練習試合で打順を試行錯誤していた。定石通り柳田を3番に置くなら、1、2番の出塁率が大事。ただ、ここはどうしても巡り合わせになる。

 優勝した昨季の西武は756得点。2位ロッテに100得点以上の差をつけるほど断トツだったのは打点リーグ1、2位中村、山川の前に常に走者を置いていたからだ。2人で243打点。ソフトバンクにとって西武は今年も最大のライバルであり、得点力で対抗するためにもどれだけ多くチャンスをつくって柳田に回せるか。それはそのままチームの浮沈に直結する。

 繰り返しになるが、柳田が持っている能力をそのまま出せば三冠王の可能性は十分にある。そういう意味では「体調管理」と「けがをしないこと」が最も重要なポイント。今年は新型コロナウイルス感染対策も求められ制約は多くなる。故障がちだったここ数年を踏まえれば、自分との闘いを制した先に偉業が待つ。

 柳田は間違いなく球界を代表するスター選手。歴代のレジェンドを見ても分かるように、本当の意味で「スーパースター」になるなら、自分との“闘い”に勝って試合に出続けることだ。大いに期待している。 (西日本スポーツ評論家)

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