マウンドで絶叫する「千賀2世」を直撃「首の皮一枚つながった」師匠の楽天涌井と岸は「人間性も一流」

西日本スポーツ 長浜 幸治

 インタビュー企画「キーマンに聞く」の2020年シーズン開幕編第2回は、新たな「育成の星」として飛躍が期待される福岡ソフトバンクの尾形崇斗投手(21)を直撃した。今春のオープン戦では5試合計11回を無失点とアピールに成功し、3年目で念願の支配下登録を勝ち取った。開幕1軍は厳しい状況ながら、「千賀2世」との呼び声高い右腕は、今年の自主トレに参加させてもらった楽天の涌井、岸への感謝や育成時代に抱いていた思いを語った。 (取材・構成=長浜幸治)

 -春先のオープン戦や開幕前の練習試合でアピールを続けてきた。

 ずっとぎりぎりのサバイバル状態で、首の皮一枚つながってきた。その中でいいところもあったけど、自分ではまだ投げ切れているという感覚はない。もっと体をうまく使えるんじゃないかと思う。ただ、以前は本当にかみ合っていないと150キロは出なかったけど、今はそこまでかみ合っていない感じでも球速が出るようになった。そこは成長だと思う。

 -オープン戦では150キロに届かなかった球速が、6月3日のオリックスとの練習試合では自己最速タイの152キロをマークした。自主練習期間中のトレーニングの成果だ。

 とにかく肩周りの筋肉を強くすることを心掛けた。今年の自主トレはランニングがメインだったので。(新型コロナで)大変な時期だったけど、自分に足りない部分を鍛えるいい時間にできた。

 -自主トレと言えば、今年は涌井、岸に弟子入りした。

 技術面はもちろんだけど、一番感じたことは一流選手は人間性も一流ということ。高校時代の恩師の紹介で一緒にやらせてもらったけど、初対面の僕に対して本当に優しく接してくれた。2人とも自分の練習が終わっても僕のブルペン投球を見守ってくれたり、(自主トレ先の千葉県館山市での)宿泊代や食事代も出してもらったり…。1軍で活躍することが恩返しになると思う。

 -開幕前の練習試合ではチーム最多タイの5試合に登板した。

 (6月10~12日に)3連投した時が疲れのピークで、下半身の切れが出なくなっていた。プロに入って3連投をしたことなかったので。でも慣れていかなきゃいけない。疲労をどう取っていくか。今のうちにこういう疲労を経験できたことは大きい。

 -1軍同行を続けてきた中で、先輩と話す機会も増えた。

 印象的だったのは和田さん。オープン戦の時期、僕の状態が悪かったので相談したら、「右太ももの外側の筋肉が硬いから、うまく体重が乗らない」「左側の骨盤が下がっていると、上半身と下半身の動きにラグが生まれる」とアドバイスをもらった。とにかく体のメカニックを熟知されている。ほかにも「思い切り投げるおまえのスタイルは誰にもまねできないから、それは崩さないでやっていけ。ただ、パフォーマンスを維持するためには、体の異変を感じる力をどんどん養っていかなきゃ駄目だ」とも言ってもらえた。それはうれしかったですね。

 -育成から支配下登録を勝ち取った。プロ入り後はどんな意識で練習に臨んでいたのか。

 とにかく全ての面で一番になってやろうと考えていた。ランニングもそうだし、毎月の身体テストもそう。飛び抜けた存在にならないと育成のまま終わるだろうなと。ある意味で浮いた存在だっただろうし、それでいいと思っていた。

 -投球時に「よっしゃー」「おらぁ」と気合に満ちた叫び声が話題になった。いつから出るようになったのか。

 プロに入ってから。言葉を選ばずに言えば、高校までは本気で投げなくてもある程度抑えられていた。でもプロは自分のすべてを出さないと抑えられない。一球一球に魂を込めて投げていたら自然と出るようになった。

 -周囲からは「千賀2世」の声も上がる。

 もちろん千賀さんみたいになりたいし、先発は格好いいなという思いもある。でも、まだ1軍でなんの実績もないし戦っていけるかどうかも分からない。勝負できるなと思ったら、その感情は出てくるかもしれない。そういう意味でも今年は大事な1年になる。

 -今季の目標は。

 シーズンを通して90個のアウトを取ること。ただ、すんなりうまくいくとは思っていない。打たれて挫折することもあると思う。それでもメンタルには自信があるんで。今年は1軍の舞台で魂の投球を見せたい。

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