取材の最後、差し出した色紙に新鍋が記した言葉は「やりきる!」…中田監督との絆

西日本スポーツ

 バレーボールVリーグ女子の久光製薬は20日、2012年ロンドン五輪銅メダリストで女子日本代表の新鍋理沙(29)=鹿児島県霧島市出身=が現役を引退すると発表した。攻守の要として「日の丸」を背負ってきたアタッカーが1年延期となった東京五輪の舞台に立つことなく、コートを去る。29日にオンラインで記者会見をする予定。

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 今年2月に都内であった女子日本代表合宿で初めて新鍋を取材した。久光製薬でも監督と選手の関係だった中田久美監督について聞きたかった。

 「何があっても味方でいてくださる方」と前置きして、新鍋はこう続けた。「私、全否定をされたことがないんです。これはこう何じゃないの? とヒントをくださる」

 自らの性格を頑固一徹で納得のいくプレーができないと感情を制御できなかったと振り返る新鍋にとって、中田監督の出会いは「バレーに対する向き合い方が明確になる」一つの転機になった。

 昨秋のワールドカップで日本は世界との差を見せつけられ、5位にとどまった。中田監督が涙を見せたと伝えられたこともあった。「負けたら監督のせい、となるけれど、選手の責任もある」。新鍋は言い切った。

 故障もあり2016年リオ五輪は代表に選出されず、中田監督の就任後、17年に代表復帰。以来苦楽をともにした。「選手が表彰台に上がって笑っている姿を見たい、と久美さんはおっしゃります。私は久美さんを胴上げしたい」。その言葉に2人の絆を感じた。

 2月の代表合宿の集合日に行われた個人面談。新鍋は中田監督に「悔いなく、やりきろうね」と声を掛けられたという。「悔いを残さないようにするには結果を残すしかありません」。取材の最後に私が差し出した色紙に新鍋が記した言葉は「やりきる!」。数え切れないほど言い聞かせ、日々闘ってきたはずだ。東京五輪のコートに立てなくても、恩師を胴上げできなくても「やりきった」と胸を張れる己の心を大切にしたかったに違いない。(西口憲一)

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