五輪スペシャリストが語る競歩・藤井菜々子のセンス「お尻が上に上がっている」

西日本スポーツ 末継 智章

 陸上女子20キロ競歩で東京五輪代表に決まっている藤井菜々子(エディオン)が19日から石川県内で合宿を開始し、目標とする五輪での入賞に向けて再始動した。2018年春からコーチを務めるのは、選手や指導者として6大会の五輪を経験した小坂忠広氏(60)。本紙の取材に応じた競歩界のスペシャリストは教え子の才能を絶賛しつつ、五輪本番までの課題として持久力強化を挙げた。 (末継智章)

 東京五輪の1年延期を小坂コーチはプラスに捉えた。藤井は競技歴が4年余りで、本格的に20キロのレースに挑んだのは2018年秋の全日本競歩高畠大会から。さらに今年は1月に右太ももの靱帯(じんたい)炎を発症して十分な練習量を積んでいなかったからだ。

 「藤井はまだ長い距離の練習をあまりやっていないので、後半疲れたときにフォームが乱れる。準備期間が1年あるから、長い距離でも歩型や体のブレをなくすような持久力とフィジカル、メンタルを鍛えられる」

 効率的に歩ける天性のフォームこそ、小坂コーチがほれる藤井の長所だ。16年の全国高校総体女子5000メートル競歩で藤井が競歩歴約半年ながら初優勝したレースを、小坂コーチはインターネット上の動画で確認。腰が重心の真上に乗り、膝を伸ばしたまま効率よく前へ進む歩きにセンスの良さを感じた。

 「骨格が欧米の選手のように背中が反り、お尻が上に上がっている。この方が体重を乗せて歩きやすい。同じく東京五輪代表の岡田(久美子)選手(ビックカメラ)はトレーニングでこの体形をつくり出したけど、藤井は元々備わっていた」

 藤井が通っていた北九州市立高の荻原知紀監督とは日本陸連の育成年代を一緒に指導してきた仲だったこともあり、藤井がエディオンに入社したのを機に指導を任された。山崎勇喜(富山陸協)や谷井孝行(自衛隊)、渕瀬真寿美(建装工業)とオリンピアンを育てた経験から「若いうちに無理して練習しても、骨格と筋肉が追い付かなく故障する」と慎重に練習量を増やしてきた。現時点で持久力が足りないのは想定内という。

 藤井は練習で最長25キロを歩いてきたが、小坂コーチは「来年6月中旬にレースと同じペースで30キロを歩けるようにしたい」と設定。新型コロナウイルスの影響で約3カ月間本格的な練習ができなかったため、石川合宿ではじっくり歩いて持久力をつける予定だ。

 昨秋の世界選手権で7位に入賞。「五輪になると強い選手はみな入賞を狙うので、1時間26分台が必要。今は28分台がベストなのでいきなりは無理だけど、若いので1年あれば見えてくる」と見通す。右肩上がりで着実に成長する藤井の可能性を信じ、焦らず徐々に距離もペースも上げていく。

PR

陸上 アクセスランキング

PR

注目のテーマ

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング