「ダメなら2軍」650日ぶり白星の裏 ソフトバンク石川のスイッチ入れた“新様式”

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

〈鷹番が見た〉

 ◆日本ハム0-4ソフトバンク(1日、札幌ドーム)

 石川柊太投手(28)が6回無失点の気迫の投球を見せた。昨年故障に苦しんだ右腕が、レギュラーシーズンでは実に650日ぶりの白星を手にした。

 前日6月30日のムーアに続いて、今季初戦で打ち込まれた投手が2試合目で2桁奪三振の快投を見せた。3連敗に引き分けと苦難を味わったホークスは、今季初の零封勝ちで5試合ぶりの勝利。北の大地で王者に弾みがつきそうだ。

 覚悟を決めた人は変わる。練習試合を含めて今季最長となる6回のマウンドに上がる前に、石川が再びエナジードリンク「レッドブル」をグイッと飲んだ。「ガッと来る物が欲しかった」。無観客の試合前にも口にした飲料に、すがる思いで手を伸ばしていた。

 6回が最後だと分かっていたのだろう。1死から連打で一、二塁とされて、一段と集中力を高めた。大田にはフルカウントから銃弾のようにジャイロ回転したボールを外角低めに鋭く落とした。見逃し三振。「一番いいスライダーが出た。“スラット”と言われるボールですね」。満足げな笑みを浮かべた。

 清宮を歩かせて2死満塁となっても動じない。野村をスライダー主体で追い込み、この試合の108球目に148キロを外角低めへズドン。売り出し中の高卒2年目を“金縛り”にさせた。最速150キロを出し、6回で毎回の10三振を奪って被安打5、無失点。先発で4勝1敗と日本ハムと好相性の右腕は、レギュラーシーズンで2018年9月20日の日本ハム戦(札幌ドーム)以来650日ぶり、先発だと同年7月17日の西武戦(ヤフオクドーム)以来715日ぶりの勝利だ。

 「ポストシーズンで勝っているので、650日と言われても『えーっ!』とはならないですけど。ようやくシーズンのスタートを切れました。今度は7日ぶりの白星になるように」

■前回西武戦から反省

 右肘故障などで昨季はレギュラーシーズン2試合の登板にとどまったが、巨人との日本シリーズ第3戦では好救援で勝ち投手に。それでも1勝の喜びを存分にかみしめた。

 「本当に背水の陣だと思っていた。駄目なら2軍ぐらいの気持ちだった」

 今季は初の開幕ローテーション入りを果たしたが、初登板だった6月24日の西武戦では、初回に4点の援護を受けた直後に山川に3ランを浴びるなど6失点。4回途中で降板した。「この2カ月で一番の状態で打たれたのがショックだった」。捕手陣とも話して考え方を変えた。状態の良さとは、あくまで自身の感覚と気づいた。良いフォームで良いボールを投げることを求めるのではなく「打者が嫌がるように」と対する相手の反応を重視した。フォームも「投げる瞬間に肩甲骨を前に飛ばす」ようにイメージを変えた。

 登板前夜にマウンドに上がって打者に投げるまでの一連の流れを脳内で描く右腕。慣れない無観客への対応に戸惑ったのも事実だった。静けさの中でスイッチを入れるためにエナジードリンクを飲むようになった。1週間で自身を見つめ直し「心の中で声援を感じて投げた」右腕が、結果を変え、チームを救った。 (鎌田真一郎)

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