苦難乗り越えたソフトバンク東浜 右肘手術中に起こった想定外の事態

西日本スポーツ 鎌田 真一郎

〈鷹番が見た〉

 ◆日本ハム1-4ソフトバンク(3日、札幌ドーム)

 開幕投手の宿命を乗り越え、東浜がついに424日ぶりの白星を手に入れた。うれしくないはずはない。それでも、試合後は喜びよりも反省が口を突いた。「ランナーを出しながらなんとかしのいだけど綱渡り。金曜日は(相手の)エースが来るのに、こんな投球をしていては…。大反省です」

 開幕からロッテ石川、西武ニール、そしてこの日は昨季最多勝の有原。エースとの投げ合いが続いてきた。結果だけを見れば5回1失点は及第点ながら、自己ワーストタイの6四球を与え、109球と球数が増えた。「本当に野手の方に感謝。特に引っ張ってくれた高谷さんに感謝です」。それが本音だっただろう。

 ただ、粘り強さは東浜の大きな強みの一つ。亜大時代に東都大学リーグ記録の22完封を記録した右腕が、「10安打完封」と色紙に書き込んだ映像を目にし、面白い投手がいるなと感心したことを思い出す。

 この試合でも、3回無死満塁のピンチに、前夜に今季1号を放った清宮、プロ1号とサヨナラ打でヒーローになった野村を連続三振に仕留めてしのいだ。2回以外は得点圏に走者を置く苦しい内容ながら踏んばり、6回の打線の奮起を呼び込んだ。

 昨年5月6日のオリックス戦(当時ヤフオクドーム)以来の勝利だ。その試合も5回4失点と、決して心から喜べるものではなかった。思い通りの投球ができなかった理由は、右肘を手術して気付かされた。

 同年6月5日に鏡視下右肘関節形成術を受けた。いわゆる「クリーニング手術」。予定では1時間程度で完了するはずだったが、患部に内視鏡がスムーズに入っていかない想定外の事態に陥った。これまでに何度も炎症を起こした滑膜が“層”をなし硬化していたことが原因だったという。「ずっと、この肘だったので気付かなくて。痛みに鈍感なんです」。固まった滑膜をはがす作業が難航し、手術は予定を大幅に上回る3時間を要した。

 不安を取り除いた右腕は、プロ8年目で初めて立った開幕戦のマウンドで自己最速を3キロ上回る154キロをたたき出す。「(スピードガンの)故障じゃないですか」と笑ったが「あそこまで出力が出たのはプラス」と手応えはある。

 そして、投げられる喜びをかみしめている。同郷の山川に2本塁打を許した前回登板の6月26日西武戦でも、苦しみながら勝ちをもぎ取ったこの試合でもこう口にした。「こうやって投げられていることに感謝です」。1軍のマウンドで投げていなければ、生まれない感情があることを東浜は知っているのだろう。 (鎌田真一郎)

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